熊本地震が発生してから3ヵ月が経ちました。西原村では仮設住宅302戸が7月上旬に完成し、入居が進んでいます。それと同時に、村内に5ヵ所あった避難所も、小中学校の体育館に開設されていた避難所を中心に徐々に解消をされ、村の公共施設にある一つの避難所に集約されました。仮設への入居が開始したことに伴い、ハビタットが開設以来サポートを続けてきた西原村災害ボランティアセンターは、7月末より復興支援災害ボランティアセンターに名称を変え、家屋の片付けや避難所支援などの活動から、仮設住宅などに移り住む被災者への生活支援ニーズに対応する活動に転換していきます。ハビタット・ジャパンも7月末で熊本地震緊急支援を完了し、これまでの取り組みを復興支援災害ボランティアセンターへと引き継いでまいります。
仮設住宅への入居が始まった一方、自ら安全とは言えない自宅に戻る方もでてきています。地震で散らかったまま、お風呂が壊れたまま、瓦がずれて雨漏りがしている、家の傾きを感じるなど、なにかしらの不自由な生活を続けています。ハビタットを中心に災害ボランティアセンター内で発足した"すまいとくらしのサポートチーム（すまいサポート）"では、「自分だけではどうしたらいいかわからない」という住まいに関するお悩みに寄り添い、解決に向けたサポートを行っています。閉まらなくなったドアを直したり、壊れたエアコンを取り外したり、地震の揺れで倒れた庭の石を起こし水路を作るなど、西原村に駆けつけるボランティアと住民をつなげ、様々な問題の解決に取り組んでいます。
また、建築士や土木の専門家の協力を受け、住まいの再建に向けたアドバイスを継続して行っています。専門家に相談をした住民の方は「やっぱり専門の人に聞かんと分からんけんね」と、安心した表情を浮かべます。それぞれのボランティアが得意な分野でスキルを活かすことで、住環境が少しずつ整い、心配ごとを解消することで再建に向けた一歩を踏み出すこと、それがすまいサポートの目指していることです。
一方、仮設住宅に入居した住民の方からは、収納スペースが少ない、バリアフリーに対応していない、家電はエアコンとガスコンロしか備わっていないなど、生活再建に関わる多くの課題が寄せられています。家屋が全壊し、全ての家財を失った家族にとって、仮設住宅での生活用品を一から準備しなくてはならないのは経済的にも大きな負担です。先日大阪のとある団体から、食器や鍋などの調理器具が入った「生活用品セット」が全戸へ支給されました。ボランティアセンターで中心となり配布を取りまとめたハビタット・ジャパンの学生支部に所属する工藤恵一くんは、「自宅は片付いていますか？」と住民に声をかけました。そんな折、住民の方からは「まだ自宅は片付いとらんとよね、洗濯機ば取り出して、洗って仮設に運んでほしか。」との声が。早速お手伝いにかけつけました。
7月末には、仮設住宅に入居した住民の方からの「収納スペースが欲しい」という声を受け、収納棚などの物づくりを行います。東北復興支援事業でも取り組んだ仮設での物づくり支援。物づくりが生活再建をサポートする一つの手段として西原村に残すことができればと、現地では準備が進んでいます。
◆ バックナンバー
2016.07.12 : 【熊本地震 第16報】公民館の修繕支援完了、新たな未来を築く （3）
2016.07.10 : 【熊本地震 第15報】すまいサポートを通じて、住民に寄り添う
2016.07.08 : 【熊本地震 第14報】ボランティア体験談（3）
2016.07.07 : 【熊本地震 第13報】公民館の修繕支援 （2）
2016.07.03 : 【熊本地震 第12報】公民館の修繕支援、憩いの場を再び
2017.07.01 : 【熊本地震 第11報】ボランティア体験談（2）
2016.06.30 : 【熊本地震 第10報】現地からの報告（5）
2016.06.18 : 【熊本地震 第9報】ボランティア活動報告 (3)
2016.06.16 : 【熊本地震 第8報】現地からの報告（4）
2016.06.01 : 【熊本地震 第7報】ボランティア活動報告 (2)
2016.05.25 : 【熊本地震 第6報】ボランティア活動報告 （1）
2016.05.23: 【熊本地震 第5報】現地からの報告（3）
2016.05.16 : 【熊本地震 第4報】ボランティア体験談（1）
2016.05.12 : 【熊本地震 第3報】ハビタット・ジャパンの支援計画
2016.04.26 : 【熊本地震 第2報】現地からの報告（2）
2016.04.25 : 【熊本地震 第1報】現地からの報告（1）
【熊本地震 17報】3ヵ月を迎えて、現地からの報告（6）
2016/07/21