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【熊本地震第14報】ボランティア体験談（3）

◆上野千穂（ウエノチホ）さんの体験談

上野千穂さんは文教大学を拠点にハビタット・ジャパンの活動に取り組む学生支部（キャンパスチャプター）"Karon"に所属する学生です。福島県出身の上野さんは「生きているうちにそんな何度も大震災を経験しないだろうという気持ちでいた私にとって、熊本と大分を襲った大地震はまさに恐怖でした」と話します。

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「熊本県で震度7」 4月14日の夜、地震速報がテレビ画面に飛び込んできた。

私の地元は福島県南相馬市。東日本大震災を目の当たりにした。あんな大震災はもう2度と味わいたくない、生きているうちにそんな何度も大震災を経験しないだろうという気持ちでいた私にとって、あの速報はたった5年でまたとんでもない地震が起こってしまった、とまさに恐怖だった。

それからはどのテレビ局も地震の被害や余震について放送していた。5年前の東日本大震災の時は、私たちがテレビの中で放送される側だった。震災が起きてからのこと、県外への避難や、福島県へ戻っても南相馬市を離れ、仮設住宅に住んでいたこと、困っている人たちがたくさんいるのに何もできなかった悔しさなど、様々な気持ちが湧き出し、私はテレビを見ていられなくなった。しかし、その気持ちの中には、全国から来てくださったボランティアの方々にお世話になったことも含まれた。

私が暮らしていた仮設住宅には、毎週のようにどこかの団体がきてイベントを開いていた。そんなことを思い出していくと、少しずつ"何か力になりたい"、そう気持ちが動いた。その頃、Karonでは、4月23日から3回にわたり、熊本地震の街頭募金活動を大学の最寄り駅で行うことが決まった。地震発生から日が浅かったこともあり、多くの方が募金に協力してくださり、涙が出るほど嬉しかった。一方で、私たち学生には募金しかできないのかと考えた。そんな思いを抱いている中、ハビタットから学生の熊本派遣について声がかかった。現地へ行くとなると迷いもあったが、5年前の恩返しをしたいという気持ち、そして、日を追うごとに報道が少なくなくなる被災地の現状が気になり参加を決めた。

「こんにちは。西原村ボランティアセンターから来ました?」
こう言いながら私は6月11日、強い日差しが照りつく西原村のお宅を一軒一軒歩いてまわった。被災地に入る前はがれきを片づけたり、避難所のお掃除をするのかと期待していたこともあり、ボランティアが被災者世帯をまわりニーズ調査を行う意義やニーズをうまく聞きだせるか、そんな不安を抱きながら活動していた。その夜、こんな気持ちで住民の方々とお話をするのは良くない、そう考えを改めた。

翌日、天気は一転。雨が降る一日となった。初日と同様、雨合羽を羽織り、地図を片手にお宅を訪問していると、とあるご夫婦に出会った。見ず知らずの私たちをお宅にあげてくださり、ご夫婦は自宅の被害状況、お孫さんのお話など、色々とお話をしてくれた。そのことに驚きながらもお話をしていると、別れ際に「若い子と話すことはほとんどないし、話すだけで元気が出る、来てくれてありがとう、また西原村に来てね」と話してくれた。この言葉は今も心に残っている。

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「普段、友達と何気ない話をしたり、相談を聞いたりするのと同じように、ヘルメットを被らなくても軍手をしなくてもできることがある。ただ1つ現地に足を運ぶということさえすればたくさんの方のお話しを聞きくことが、私たち学生にも出来ること。それが住民の方々の笑顔につながる」被災地でのボランティア活動をそう振り返る上野さん。訪問の回数を重ねていく中で、初日に抱いた"具体的に何かできるのか"という迷いは消えていたそうです。上野さんは7月11日、熊本でのボランティア活動に参加したKaronのメンバーと共に、キャンパス内で熊本支援報告会を開催しました。現地の様子、経験したことを伝えることで、学生ができる社会貢献の可能を伝えていました。

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投稿者: Habitat for Humanity Japan 日時: 2016年7月 8日 00:00