「きれいになった、きれいになったよ」、「新しいお布団でよく眠れるようになったよ」そう口々に話すのは、神奈川県大磯町にある児童養護施設「エリザベス・サンダース・ホーム」の男子寮「朝凪寮」に暮らす子ども達です。
ハビタットは国内居住支援の一環として、さまざまな事情により養育を必要とする子どもたちが暮らす児童養護施設や、母子の自立を支援する母子生活支援施設などが抱える修繕ニーズに応えることで、誰もが安心、安全に暮らせる住まいを持てるよう修繕支援に取り組んでいます。
この5月、ハビタットの修繕支援を完了した一つが児童養護施設「エリザベス・サンダース・ホーム」です。同施設は、戦後に乳児院として開設し、現在は2歳から18歳まで、約70人以上の子どもたちが暮らす児童養護施設です。広大な敷地にある3つの建物に子ども達はそれぞれ暮らしています。その一つ「朝凪寮」は、築40年以上と最も古い建物にあり、建物内にある3つの男子寮は、どの寮も大部屋をパーテーションで区切り、子ども達のプライベート空間を確保しています。
しかし、大部屋に後付けで設置したパーテーションは、劣化から斜めに傾いているものもあれば、子どもたちの距離感の近さが喧嘩の火種となり、一部が破損するなど、修繕を必要とする箇所が目立ち始めていました。また、寮全体の壁や床は破損が目立つ上に、パーテーションで区切られた子ども達の居室スペースは電球の灯りがあたらず、全体的に暗い印象が残されていました。
る子ども達の居室に電球が当たるよう、配線を変える工事を行いました。あわせて、支援員の方がキッチンから子ども達が見渡せるよう、吊戸棚をカウンターへと改修しました。こうして寮全体の改修を経て、3月には子ども達一人ひとりのプライベート空間となる「やぐら」方式の個室の組み立てが始まりました。
子ども達が寮に戻ってから1ヵ月、朝凪寮を訪問すると、修繕前とは様変わりした空間がありました。「寮全体が明るくなりました。子ども達の部屋にも光が入るようになりましたし、空間が確保されたことから喧嘩が減ったように感じます。寮に戻った際は、修繕にあわせご支援いただいたマットレスを子ども達が自分たちで袋から取り出し、楽しそうにベッドに設定しました」と支援員の大崎さんは教えてくれました。同建物には他に2つの寮が修繕を必要としています。修繕を行い良かった点、また今後に向けた改善点などのお話を伺っていると、朝凪寮に一人、二人と学校から子ども達が帰ってきました。どの子も寮に戻ると手紙を大崎さんに渡し、そして、すぐにダイニングテーブルで宿題を始めました。新しくなった寮について子ども達に話を伺うと、最初は恥ずかしがっている様子を見せていましたが、子どもらしく笑顔で答えてくれました。
◆本プロジェクトのバックナンバー
2023.06.01: ベントール・グリーンオーク株式会社と協働:児童養護施設の施設修繕
2023.04.30: M&G インベストメンツ ジャパン㈱と協働:児童養護施設で第二回目の「やぐら」組み立てを実施
2023.03.27: J.P.モルガンと協働:児童養護施設で子どもの居室をセルフビルド
2023.01.30: 施設修繕:児童養護施設でセルフビルドプロジェクトを始動
2022.10.31: 施設修繕:コロナ禍でも子どものプライバシーを大切にした生活空間づくり