ハビタットの施設修繕は、養育を必要とする児童が暮らす児童養護施設や母子の自立を促進する母子生活支援施設といった、家庭に代わる住まいとなる施設が抱える老朽化や急場の修繕ニーズに応える支援です。大規模な修繕では、施設のニーズをヒアリングし、修繕計画を策定し、専門業者と修繕工事を監督するほか、ご支援くださる企業や個人の皆さまにボランティアとしてご協力いただき、施設内の網戸交換や庭の手入れなどさまざまな環境整備にご参加いただいています。

ハビタットがこの春から修繕支援の実施に向けて支援を続けている施設の一つが、戦後に乳児院として創設された神奈川県大磯町にある児童養護施設「エリザベス・サンダース・ホーム」です。現在は、広大な敷地にある3つの建物に、2歳から18歳までの児童が分かれて暮らしています。その中で、最も築年数が古い建物には、3つの大きな部屋があり、それぞれの部屋を寮として使用しており、各寮には約10名の子どもたちが暮らしています。

それぞれの寮は共有のキッチンやお風呂、リビングダイニングを備え、その横に大きな居室スペースが併設されています。元々は大きな部屋を児童たちが共同で使うデザインでしたが、近年では建築基準法や消防法といった課題がある中で子どもたちが少しでもプライベートな空間を持てるよう、施設では大部屋をパーテーションで区切り、子ども達が部屋を持てるよう工夫してきました。

しかし、そのパーテーションも歳月とともに劣化し、パーテーションそのものが傾いている箇所もあれば、一部の壁が外れるなど、プライバシーだけでなく安全面に不安を抱えている状態です。「小学2年生の子がお布団に入ると、同じ並びで生活する中学生の子も電気を消さなきゃいけないんです」そうスタッフさんが窮状を話します。後付けでパーテーションを設置したため、区切られた各個室すべてに電源があるわけではなく、また大部屋の蛍光灯の光が届きづらく比較的暗い個室など、多くの課題を抱えていました。また、パーテーションを使用した完全に隔離できる個室ではないため、コロナ禍の感染対策では問題を抱えていました。こうした課題を解消するために、施設も改修に向けた費用を積み立てようと試みてきましたが、3つもの寮の改修が必要な上に、以前に建て替え行った建物の費用返済が残されているため、これらの寮を修繕する費用の工面に悩まされていました。

  • リビング横のスペースが子ども達の居室

  • パーテーションで区切られた居室

  • パーテーションの一部が破損

こうした施設のニーズに応えるために、ハビタットでは、この春からご支援くださる企業に修繕支援への賛同を呼びかけ、ファンドレイズに取り組んできました。そしてこの秋、遂に一つ目の寮で老朽化したパーテーションを取り外し、新たに個室を作る改修工事の計画が動き出しました。ある職員の方は、「この寮だけじゃないんです。他にも同じような寮がこの建物に2つもあるんです。継ぎ接ぎでも、その時々できる改修を行うしかなかったのです」と、苦しそうに胸の内を明かしてくださいました。建替えられれば一度に問題は解消しますが、その費用面だけでなく、建て替えには、その間に子ども達が暮らせる場所の確保が必要になります。施設修繕は、施設が抱える修繕ニーズに寄り添い、今ある住環境の改善を通じて、子どもたちがより安全に、そして安心して暮らせる環境づくりを目指す活動です。「エリザベス・サンダース・ホーム」をはじめ、修繕を必要とする児童福祉施設は数多くあります。子ども達が健全な未来を築けるよう、施設修繕へのご支援をお願いいたします。施設修繕へのご支援はこちらをご覧ください。