「なんていうのかな、『希望』っていうの?そういうのが見えてきました」清掃・片付け支援を終え、そう喜びを言葉にしてくださったのは、ご高齢の中村さん(仮名・70代)です。
以前は国立競技場の近くにお住まいでしたが、オリンピック開催たのめに住み慣れたわが家から立ち退き、唯一の家族である愛猫と共に、6年前に現在お住まいの団地に引っ越してきました。中村さんは、糖尿病を患っている上に、喘息をお持ちのため、いつ発作が起こるか分からない不安を抱えています。新しい環境に置かれてからは、高齢となった愛猫の世話に明け暮れながら生活してきたそうです。
昨年6月に愛猫が他界してからは、家族を失った悲しみも影響したのか、糖尿病が更に悪化し、体調を崩すことが多くなりました。ベットから起き上がれないほど体調の悪い日が増え、日増しに部屋の環境が悪化する中村さんを心配して、地域の高齢者相談センターから中村さん宅の片付けの相談がハビタットに寄せられました。
昨年12月に初めて実施した清掃・片付け支援には、ハビタットの学生支部(キャンパスチャプター)の一つである文教大学のKaronチームがボランティアとして参加してくれました。この日は、半日かけて山積みになった洋服やモノなどを仕分け、必要なものを押し入れに収納しました。片付けを進めていくと、愛猫のために買い揃えたおもちゃやクッションなどがたくさん出てきました。「これはどうしましょうか」、ご本人に相談すると、「これからの人生を楽しんで過ごすことを亡くなった猫もきっと喜んでくれるわ」そう話し、思い出のモノを僅かに手元に残し、そのほかのモノは手放す決断をされました。
そして、年が明けた1月、スタッフ2名で2回目の片付け支援に入りました。この日のゴールは、モノに溢れたリビングを片付け、ソファーを使える状態に取り戻すことでした。モノの山により座面を失ったソファーの上や周りを片付けていくと、占いや易の本、絵画のセット、裁縫に使う生地や道具、囲碁などが出てきました。片付けを進める中で、かつての中村さんは趣味をたくさん持ち、色々なことに生きがいをもって取り組んできたことが伺えました。しかし、愛猫の喪失と体調不良により、次第に部屋がモノに溢れ、どこから手をつけていいの分からない状態に陥り、中村さんご自身が全てを諦めていたことが分かりました。
2度の活動を経て、中村さんのお宅には、生活動線を確保するスペースが生まれました。これでハビタットによる支援は終了し、今後はヘルパーさんが定期的に中村さんのお宅を訪問し、日常生活に必要な片付けなどをお手伝いすることで、今ある住まいの安心・安全を守っていきます。中村さんのように、ふさぎ込んでいた気持ちが支援を通じて前向きに変わっていくきっかけの一つとなる国内居住支援「プロジェクトホームワークス」の清掃・片付け支援は、皆さまのご支援とホームパートナーさんの心に寄り添い、活動してくださるボランティアの皆さんによるご協力のもと活動を継続できています。引き続き活動へのご支援とボランティアとしてのご参加をお願いいたします。
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