ハビタットの「プロジェクトホームワークス」で取り組む清掃・片付け支援は、高齢であることや障がいをもつこと、また病気を抱えるなど、心身のさまざまな事情により居室内の片付けが困難となる方を支援し、居住環境改善を目指すハビタットの国内居住支援の一つです。ハビタットでは、ボランティアによる協力のもと、無償で清掃や片付けを支援することで、誰もが今ある住まいを守り、地域で自立した生活を維持できるよう取り組んでいます。

清掃・片付け支援に参加くださるボランティアは、個人サポーターをはじめ、活動をご支援くださる企業やハビタットの学生支部「キャンパスチャプター」に所属する学生など様々です。18歳以上の方であればどなたでもボランティアとしてご参加いただけます。

昨年の11月に初めて清掃・片付け支援に参加くださった学生ボランティアの佐藤さん(仮名)が訪れたのは、精神的な障がいを持つ高橋さん(仮名)のお宅です。高橋さんは、身内の不幸がきっかけで気持ちが落ち込んでしまい、それ以来、室内環境をご自身で整えることが困難になったそうです。気が付くと、部屋はモノに溢れ、部屋の奥にあるベッドまではひと一人がやっと通れる程度しか空間が残されていませんでした。高橋さんは、居室内の環境が悪化し、こうした環境下で暮らしていることをご家族をはじめご友人にも伝えられず、誰にも相談できずにいたそうです。そのため、家族から送られてくる荷物も断ることができず、開封されることなくモノの上に積み上がっていました。

活動当日、佐藤さんを含めたボランティアには、モノの仕分けをお手伝いいただきました。そして、大量に出された不用品をごみ捨て場まで運んでいただきました。こうしたご協力のもと、2回目の活動では、モノに埋め尽くされたキッチン周りを片付け、スペースを確保することができました。初めて活動に参加した佐藤さんが、活動後に感想を次の通り寄せてくださいました。

写真右が学生ボランティアの佐藤さん(仮名)

「片付けが追い付かなくなってしまったお家を初めて自分の目で見て、最初はイメージしていた通りだと思いました。中に入らせていただいき、片付けに参加しているうちに、想像以上に暮らしにくい、また住みにくい部屋だということに気づきました。これでは、部屋の様子を人に言いづらいなどとても苦しいのではないか、と、ひとりよがりですが思ってしまいました。

その中で片付けの作業をお手伝いできることは嬉しく、お話ししながらみんなで進めていくのがとても楽しかったです。しかし、片付けたいと思っているホームパートナーさん(高橋さん)の力になりたいというのが、途中で自己満足のためのように少し変わってしまって、最後の方はムキになって片付けてしまったな、と振り返って思いました。どうして片付けが難しくなってしまうのか、その理由ははっきりとはまだ分かりませんが、活動に参加する中でも考えていきたいです。今回は貴重な機会をいただき、ありがとうございます。」

佐藤さん、ボランティアとしてご協力くださりありがとうございました。清掃・片付け支援で出会うホームパートナーが抱える事情は様々であり、片付けが困難な理由を明確にお伝えすることはできません。ハビタットが支援をする上で大切にしていることは、活動を通じてホームパートナーと向き合い、対話を重ねることで、ホームパートナーが抱える事情を理解し、時に想像し、清掃・片付けが一時で終わらないよう、相手の気持ちに寄り添いながら支援に取り組むほか、必要に応じて日常の生活援助につなげられるよう、地域の福祉相談所と連携して活動を進めています。高橋さんの場合は、病気により気力が湧かなくなってしまったことに加え、ご本人の特性として片付けが苦手な上に、必要以上にモノを買ってしまうことなどがあるように思います。また、多くのホームパートナーに見られるように、他者への気遣いができるからこそ、家族から送られてくる荷物を断れなかったり、片付けようと思うあまりに色々とモノを買い込んでしまい、活用できないでいる様子が伺えました。

ハビタットに清掃・片付け支援の相談を寄せてくださるホームパートナーは、ご自身も置かれた住まいの環境を何とか改善したい、という思いを抱えています。ハビタットでは、清掃・片付け支援を通じて、一人でも多くの方が住まいの安心・安全を取り戻し、誰もが安心・安全に暮らせる住まいを持てるよう取り組んでいます。活動へのご支援、またボランティアとして引き続きのご支援とご協力をお願いいたします。