国内居住支援「プロジェクトホームワークス(PHW)」の清掃・片付け支援で訪問した木村さん(仮名)のお宅は、古くから残されたモノたちが溢れ、時が止まったかのように全てが分厚いほこりに覆われていました。ブラウン管テレビに掛け時計、古いレコードなど、まるで昭和の博物館のようです。
木村さんは90歳近い高齢の男性ですが、これまではお一人で身の回りのことをしながら暮らしてきました。しかし最近腕を骨折してしまい、入院したのをきっかけに福祉サービスにつながったといいます。木村さんの入院中、駆け付けた甥御さんの案内で包括支援センターの相談員さんがお宅を訪問し確認すると、居室内にはたくさんのモノがあふれ、安心して生活できる環境ではなかったと言います。そこで木村さんの退院に合わせて、相談員さん、ケアマネジャーさん、甥御さんが中心となり、一室を片付けて介護ベッドを設置しました。生活空間はある程度整いましたが、出入り口となっている昔ながらの古い土間や、木村さんも長らく足を踏み入れていないという2階の部屋には相変わらずモノがあふれています。相談員さんたちだけで片付けていくには限界があるとのことで、ハビタットに相談が寄せられ、ボランティアと一緒に片付けをお手伝いすることになりました。
活動当日までには退院することができた木村さんですが、骨折が完治していない上に高齢なこともあり、木村さんは片付けを見守ることになりました。その代わり、この日も駆けつけてくれた甥御さんの指示を仰ぎながら、包括センターの相談員さん、ケアマネジャーさんも協力くださり片付けが進みます。出入り用の通路となっている土間を中心にモノを仕分けていくと、その多くは古くなった新聞でした。20年近く前の新聞が次々と出てくるので、ボランティアの学生たちは、自分が生まれたころの新聞を見つけて思わず見入る姿もありました。なかにはあまりにも分厚いほこりで全く読めないものや、湿気を吸って重くなった新聞もあり、袋に入れていくだけですが量が多く大変な作業となりました。「テレビは見ないけど、時間があれば新聞を読んでたよ」と言う、新聞好きな木村さんの暮らしがうかがえるとともに、歴史の刻まれた新聞をなかなか捨てられずに取っておいたことが感じられました。
この日は清掃局に30袋のごみ回収をお願いしていましたが、それでは全く収まらないほどたくさんのごみ袋が土間に積みあがりました。回収できなかった分は次回甥御さんが対応してくださるとのことで、ハビタットのお手伝いはこの日で終了です。2時間程度の短い活動でしたが、地域包括支援センターの相談員さんや甥御さんはボランティアに参加する学生たちの、参加のきっかけや思いなどに関心を寄せていろいろと尋ねてくださるとともに、感謝を伝えてくれました。
私たちは皆地域で暮らし、その地域での暮らしを維持するために、身近な家族や近隣住民をはじめ、時に地域の相談窓口となる地域包括支援センターの相談員さんやケアマネジャーが暮らしを支えています。PHWを通じて出会うホームパートナーの方々の多くは、こうした支えを必要とする方が多く、PHWに参加くださるボランティアの皆さんもホームパートナーとなる方々が地域での自立した生活を維持する上で欠かせない一助です。一人でも多くの方が今ある住まいで生活を維持できるよう、清掃・片付けを通して居住環境を改善し、相談員さんやケアマネジャーと連携しながら活動を継続してまいります。PHWの清掃・片付け支援はボランティアによる活動へのご協力と、皆さまからお寄せいただくご寄付に支えられています。ボランティアの募集はこちらをご覧ください。活動へのご寄付はこちらからお願いいたします。