8月9日、ベトナムで開催された大規模な住居建築イベント｢メコンビッグビルド」が閉幕しました。今回は、中国、カンボジア、シンガポール、ニュージーランドや、遠く離れたアメリカ、カナダ、ドイツなど、世界中から総勢約200名のボランティアが集結し、5日間で計25軒の住宅を建築しました。日本からはハビタット・ジャパン学生支部の企画「Step to Peace 2013」などを通じて33名（大学生31名、社会人1名、ハビタットスタッフ1名）が参加し、日本チーム3チームと、日本人を含む多国籍混合チーム1チームに分かれて4軒の建築に携わりました。 ビッグビルドは、通常の海外建築ボランティア活動とは異なり、世界中からボランティアが集まって一斉に数十世帯の家を建てるイベント。今回の活動場所は、ホーチミンから車で1時間半ほどのベトナム南部ティエンザン省チョガオ地区（Cho Gao District, Tien Giang Province）で、メコン・デルタ地帯に位置しています。季節は雨季。突如暗雲と大雨に見舞われることもありましたが、ホームオーナーと活動を共にする中で、作業の手にも徐々に力が。どのチームも目の前にいるホームオーナーの笑顔を見たい一心で自然とチームワークを育み、建築作業に当たりました。 作業初日、柱しかない状態からスタート。3日目までは壁づくりのため、一つ一つ丁寧にブロックを積み重ね、同時に大工の指示に従って、ブロックをつなぎ合わせるモルタルを混ぜ合わせていきます。ブロックの積上げは神経を使い、モルタル作りは体力のいる作業。雨季であっても照り付ける日差しは厳しく、ボランティアの体からは大粒の汗が。そんな中もくもくと作業に加わるホームオーナー家族の後ろ姿を見て、参加者同士も声をかけ合い、作業をローテーションしながら目標に向かって進めていきます。
4日目には、壁の仕上げとともに、床づくりの作業を開始。以前の家で使っていた扉や窓も、劣化防止のペンキできれいに色を塗り、再利用します。途中、近所の子どもたちも一緒になって慎重に塗装作業に取り組み、最後の扉を塗り終えた頃には子どもたちの顔から満面の笑みがこぼれました。5日目、大工の手により高所の壁が完成。最後に参加者全員で屋根となる金属シートを運び、設置を終えると歓声が上がりました。柱しかなかった家の枠組みに頑丈な壁が出来上がり、雨をしのぐ屋根が付いただけで、「家」ができたことが感じられました。今後、残った扉、窓枠の設置作業や電気の整備を進め、それぞれの家族が、生活の基盤となる安心・安全に暮らせる家で新たな一歩を踏み出すことになります。
ベトナムの経済は1990年代から高成長を続けていますが、この地域の人々の暮らしは、その発展とは裏腹に、いまだ貧困状態に置かれています。地理的にも、洪水や干ばつなどの自然災害の影響を受けやすいにもかかわらず、多くの家族が椰子の葉っぱや木で作られた簡易的な住まいでの暮らしを余儀なくされています。今回ハビタット・ベトナムは、「きちんとした暮らし」の実現を目指してこの地域でビッグビルドを開催。今回支援できた世帯は25世帯ですが、隣接する地域にはまだまだ支援を必要とする家族が暮らしています。ハビタットは引き続き、これらの地域で住居や衛生設備の支援を続けていきます。
◆関連リンク ハビタット・ジャパン活動日記（ブログ）：メコンビックビルド in ベトナム（その1、その2、その3） ◆関連ページ 2012.08.28 スリランカ・ビッグビルド閉幕！5日間150人で24軒を建築 2010.10.17 エベレストビルド閉幕、ネパールに40軒のバンブーハウス完成！ 2010.07.07 モンゴル・ブルースカイビルド閉幕！ 2010.06.28 ネパール・エベレストの麓で50軒を建てよう！ 2010.04.27 モンゴルで30軒を建てよう！BLUE SKY BUILD