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20130420thailandstaff(1).jpgホームオーナーたちの家を訪ねると、必ず目にするものがあります。それは家の門先に吊るされた赤いTシャツ。デザインは家によってまちまちで、Tシャツ一枚が軒先に吊るしてあるだけの場合もあれば、帽子やサングラスを身に着けたかかしが小粋に赤シャツを着こなしていることも。そして、「この家に、男はいません」という注意書きが胸元にあるデザインが定番です。
    
初めの頃は洗濯物かと思っていましたが、あまりによく見かけるため現地スタッフに尋ねてみると、「あれは幽霊除けだよ」とのこと。聞けば、タイの農村では夫に先立たれた女の幽霊「ピー・メマイ(Pee Mae May)」が家々の男性をさらいに来ると信じられており、その幽霊を追い払うための厄除けだそうです。それにしても、男性のいない女性のみの世帯でも赤いTシャツを吊り下げているあたり、この幽霊が村の人々の信仰に深く根付いていることがうかがえます。
    
20130420thailandstaff(3)small.jpg一方で、家を守ってくれる良い精霊も。ホームオーナーの一人ジャイ(Jai)さんの家には、そのような良い精霊が住む部屋があるのだといいます。家族以外がその部屋に入ることは禁じられており、家の人が掃除やお祈りなどで部屋に入る時も毎回、「失礼します」と断ってから入るそうです。「そうしないと、精霊が座っている場所に気づかず箒で掃いたりしてしまうからね」とジャイさん。こうした精霊信仰はタイソンダム(Thai Song Dam)人と呼ばれる民族特有のものだそうですが、家が生活の場所であるだけでなく、人々の信仰の場所としても大切な空間であるということに気づかされます。
  
20130420thailandstaff(2).jpgジャイさんの住居は2011年の洪水で被災し、柱が傾いて非常に危険な状態となってしまいました(左写真)。今回、修繕自体が困難との判断からリノベーションを行ったジャイさんですが、旧家はまだ完全に取り壊さずに残しています。「精霊を新しい家にご招待する儀式をしないといけません。それが終わったら取り壊して、使える資材を新しい家の拡張ために再利用する予定です」
  
  
  
  
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