【ｽﾀｯﾌ便り】さんまの秋と大船渡のカモメ

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秋と言えば食がおいしい季節ですが、大船渡でも食の話題が絶えません。とくに大船渡では秋刀魚が名産なので、この季節はどこで食事していても主役として登場。刺身に炭火焼、甘辛く煮た佃煮など様々な形で食卓を彩ります。さすが港町だけあって、秋刀魚の初水揚げの際には地元の新聞も一面で報じました。
　　
さて、秋刀魚は氷と一緒に山積みされてトラックで運ばれていくのですが、それを知っているのは実は人間だけではありません。以前そのトラックの後ろに付いて運転したことがあるのですが、トラックが交差点に差し掛かってスピードを落とした隙を見計らってカモメも急降下！狙った秋刀魚をいっぱい咥えていきました。「経験のあるカモメなんかは、トラックに乗ってお腹一杯になるまで食べてから飛んでいくんだ」と地元の人々は笑います。
　
さいとう製菓の「カモメの玉子」は有名ですが、大船渡ではもはや風物詩と言うほど多くのカモメを見ます。知り合いの水産加工業を営む大将は、毎日夕方に加工途中で切り落とした秋刀魚の頭や内臓などを近くの港まで行って捨てますが、カモメは毎日同じ時間になると店の外で見張りを立て、大将が出てくるのを待ちに待っている。「カモメが俺を待っているから。その話はまた後で」と、私はカモメより後回しにされてしまいました。
　
壊れた防潮堤や冠水した港脇の道路、大船渡のカモメはそんな所を棲家にしています。復興に向かいつつもまだまだ厳しい現実に晒される被災地ですが、「みんないきものだから。分け合って生きていく。それが人であれカモメであれ」と、笑顔で見守る温かさがここにはあります。
　　　
　　
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