8月のPHWは、ひとり親世帯である佐藤さん(仮名)のお宅で清掃支援を行いました。佐藤さんは小学生のお子さんを抱えるお母さんです。片付けが苦手と話す通り、室内には、お子さんの玩具や作品などの紙類、またご本人の雑貨や服などが収納棚からあふれ出し、床にまで広がっていました。お一人ではどこから手を付ければよいのか分からず、家族や友人にも相談できずに悩みを抱え込んでいたようです。このままの状態では、片付けの習慣がつかないまま我が子が成長してしまうのではないか、そうなれば親としての自分の責任であり、我が子に申し訳ない…そんな胸の内を、涙を浮かべながら話してくださる姿に、勇気を出してハビタットに相談してくださった様子が伺えました。
活動当日、佐藤さん宅に集まってくださったのはBloombergの皆さんです。キッチン周りをはじめ、お子さんのスペースや洋服類の整理整頓と、それぞれが担当を持ち片付けを始めました。段取り良く動くボランティアの姿を見て、佐藤さんも積極的に仕分け作業に取り組み、気づけば汗を拭くのも忘れるほど片付けに集中していました。また、この日はお子さんも在宅していたことから、スタッフやボランティアと一緒に自分の物を一つひとつ確認し、必要な物を棚に片づけるお手伝いに参加してくれました。
物に溢れていた床が見えてくると、佐藤さんのお子さんは床に寝転がり、手足を目一杯広げて動かし、広くなった部屋を体全身で感じていました。ご飯を食べるスペースができたこと、布団がもう一組敷けるようになったことなどを、佐藤さんと嬉しそうに話していました。活動が終わると、「誰にも頼めなかったので、本当に助かりました。ありがとうございます」と、佐藤さんは何度もボランティアにお礼の言葉を伝えてくださいました。
社会福祉サービスの一つとして、ひとり親家庭への支援制度も整備されつつありますが、そこに上手くつながらず、佐藤さんのようにどこにも相談できずに悩みを抱え込んでいる方がいます。外に働きにでられていて、子どもの様子に問題がなければ、家庭に問題があるのではと想像する人は少ないでしょう。その上、外からでは見えない居室内の環境は、問題を抱えている人自身が外に発信しない限り、周りに気づかれにくく、支援の手が届きにくい状態に陥ってしまいます。
佐藤さんのお宅は物が多く散乱していましたが、ゴミはきちんと捨てられており、不衛生さは一切ありませんでした。しかしその状態を放っておけば、居室内の環境は次第に悪化し、衛生状態や安全性が損なわれる可能性は無視できません。そうなる前に母親として、現状を改善しようと勇気をふり絞りSOSを発信してくださいました。今回の支援をきっかけに、佐藤さんは日常の生活援助のサービスがあることを知り、活動後には早速サービス利用を検討し始めてくださいました。
居室内の環境悪化が、自身では手の付けられない状態になる前に、周りに発信し相談することはとても大切です。ハビタットでは、佐藤さんのようなひとり親世帯や若い世代の方たちで、住まいに関する困りごとを抱えている方たちに相談できる場があることを伝えていけるよう、関係機関と協力しながらハビタットの活動を広めてまいります。
PHWの活動は企業との協働が欠かせません。Bloombergの皆さま、活動へのご支援・ご参加、本当にありがとうございました。9月のボランティア募集はこちら。一般の方のご参加もお待ちしております。