「ヘルパーサービスの利用を一旦とめるしかありません」そう話すのは高齢の村田さん(仮名)を担当する地域包括支援センターの相談員。村田さんは精神的な疾患があります。そのため、介護認定を受け、日常生活を支援くださるヘルパーサービスを利用していました。村田さんは、年齢を重ねるとともに、物をどこからともなく持ち帰るようになったそうです。収納のない5畳程度の室内は、次第に足の踏み場もなくなるほどに物で溢れかえり、ヘルパーサービスで行う日常的な掃除では追い付かない状態になってしまいました。こうした状況を改善すべく、ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス(PHW: Project HomeWorks)」を知った相談員さんは、村田さんにハビタットのことを話し、相談が寄せられることになりました。

相談員さんからお電話をいただき、まずはスタッフ2名で村田さんのお宅を訪問しました。プロジェクトホームワークスでは、支援させていただく方(ホームパートナー)をはじめ、その家族や担当のケースワーカー、保健師の方から、住まいの環境改善に関して、まずはお電話でご相談を受けています。そして、電話でのヒアリング後、現場を訪れご本人とお話をし室内の下見をし、ご意思の確認や、こちらの支援の実施可否の判断をしています。その後、活動実施に力を貸してくださるボランティアを募集し、日程調整を行っています。このように、実際の活動に入る前の手続きがいくつかあるために、下見から通常1ヵ月程度はお時間をいただいています。

村田さんのお宅での活動には、企業パートナーである野原ホールディングスの皆さまにご協力いただきました。野原ホールディングス株式会社から総勢15名のボランティアが集まり、村田さん宅での活動チームには4名が参加しました。村田さんのお宅につくと、まずはボランティアの皆さんを村田さんに紹介し、簡単なご挨拶。そして部屋の中の状況を確認し、チームで戦略を練りました。作業時間は半日と限られていること、村田さんのお宅では室内のスペースが限られていることから、2名が 室内に入り、残りの2名が部屋から出された不要となった物をまとめ、ゴミ集積場に運ぶなど分担して作業にあたることになりました。初めはハビタットのスタッフが村田さんとのコミュニケーションをリードしていましたが、すぐにボランティアさんがその役割を担ってくださり、村田さんに一つひとつ丁寧に物を選別する確認作業を進めてくださいました。

積み上げられ、下の方で潰されていた衣類たちを取り出すと空気を含み、一時は家の中がものに溢れ、限られた時間で状況を改善できるのか心配になるほどでした。しかし、参加くださったボランティアの気持ちは一つ。村田さんの部屋を少しでもよくしたいという思いから必死に作業してくださり、床に散らばったすべての物の選別を終え、部屋から一旦出し切ることができました。そして、遂に床と布団が姿を現しました。床にも布団の上にも、長い間掃除できていなかったことからゴミや埃がたまっていました。ボランティアの岸田さんは「細かいところも気になってしまう」と天井につもった埃も丁寧にほうきで払い落し、最低限の衛生状態、空間を取り戻すことができました。

必死に作業するボランティアの姿をみて、村田さんからは「牛乳を飲もう」「ほらアイスがあるよ」とねぎらいの言葉が沢山かけられました。そしてすべての作業を終えると村田さんだけでなく、ボランティアからも歓喜の声があがりました。そして、タイミングよく村田さんの相談員さんが現場に来られ、村田さんの部屋を見ると、感嘆の言葉が。「これをボランティアでやっていただけるとは、本当にありがたい。」と村田さんにお話しされていました。

活動に参加くださった野原ホールディングスの皆さま、ありがとうございました。プロジェクトホームワークスはボランティアによる協力をはじめ、実施にあたっては皆さまからお寄せいただくご寄付で活動を行うことができています。引き続き活動へのご支援・ご協力をお願いいたします。6月のボランティア募集はこちら。ご寄付はこちらよりお願いいたします。