コロナ感染予防への取り組みとして、8月末に手洗い用の石鹸配布を行った集合住宅に暮らす木村さん(仮名)のお宅を訪問しました。木村さんは、石鹸配布の際に同封されていたハビタット・ジャパンの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」の案内を見て、ご本人からハビタットに相談を寄せてくださいました。お子さんは独立し、妻に先だたれてしまわれた木村さんは、40年近く暮らす団地の一室に今もお一人で暮らしています。生活ごみは何とかご自身で片づけているそうですが、年を重ねる中で体のあちこちに痛みが走るようになり、室内やベランダなど、まとまった片付けが進まないという悩みを抱えてたそうです。どこの誰に相談して良いか分からない、そんな中、偶然にもハビタットの案内に目が留まり、お電話をくれたそうです。
ハビタット・ジャパンでは、片付けや清掃支援を行う際は、一時的な環境改善とならないよう、その方の福祉を担当されるソーシャルワーカーの方や福祉団体による活動への介入をお願いしています。支援を開始する前に、まずは木村さんを担当するケースワーカーに連絡を入れ、一緒に木村さんのお宅を訪問しました。コロナ禍でケースワーカーも木村さんを訪問できていなかったとのことで、初めて室内の様子を確認する機会となりました。木村さんが話してくださった通り、室内に生活ごみは多くありませんが、物が散らかった状態でした。「万年床となっている布団を片づけるスペースを作りたい」、「靴箱を移動して導線を確保したい」など、お話を伺うと、木村さん自身は理想の居住空間のイメージをしっかりと持っているようでした。ケースワーカーとも相談し、ハビタットでは木村さんの理想に近づけるよう室内の片づけを進める一方、支援が完了した後も引き続き理想の居住空間を保てるよう、日常的な生活援助としてヘルパーサービスの利用検討をケースワーカーにサポートしてもらうことになりました。
木村さんのお宅での活動は、ボランティアの協力を得て2回に分けて実施することになりました。コロナ感染予防から、アルコール消毒の徹底や十分な換気に気遣いながらの片付け支援となりました。ハビタットのサポーターとして、国内外の活動に参加くださる男性ボランティアさんがこの日も力を貸してくださり、今まで手の届かなかった電灯の傘や天井に溜まった埃を掃除してくれました。すると、年月を感じる分厚い埃がすっきりしました。2回目の活動ではキッチンや棚の細かな拭き掃除を行い、ベランダを片付けて、居室内全体の片付けがすべて完了しました。
片付け前
片付け後
今回ご自身がハビタットに相談を寄せたことで、どこに相談すればよいか分からなかったという木村さんは、「自身も福祉サービスを利用できることを知るきっかけとなり、今後そうしたサービスを積極的に受けていきたい」と話してくださいました。今後も安心できる環境で生活を継続していくことができそうです。
プロジェクトホームワークスはボランティアによる協力が欠かせません。ボランティアとしての活動への参加もお待ちしています。ボランティア募集はこちらよりご覧ください。