2016年2月、ネパールとインドの国境間で4ヶ月もの間続いた非公式な国境封鎖が解除されました。この事態は、9月下旬、ネパールで新憲法が可決されたことにより発生。新憲法に不満を持つネパール南部の住民がインドとの国境を封鎖しました。ガソリンや料理用プロパンガスなどを含む石油製品や医薬品などの生活物資を乗せた車両の通行が禁止され、これらの物資をインドからの輸入に頼っていたネパールでは、震災後間もない人々の生活に多大な影響をもたらしました。ネパール中央銀行によると、国境封鎖により過去40カ月でインフラが11.6%も高騰、生活に必要な物資の価格高騰が引き起こされました。これにより、特に低所得者世帯や、シェルターなどの仮住まいでの生活を余儀なくされている地震被災者世帯は、更に厳しい生活を強いられることになりました。一方、災害支援に取り組む支援団体の活動にも影響を及ぼし、ハビタットでは、住宅再建に必要な資材の調達が困難になるだけでなく、スタッフの移動さえ難しい状況になるなど、支援活動が制限されてきました。
Nepal-training.jpgその間、2015年12月、首都カトマンズで防災に向けた能力開発トレーニングを実施しました。トレーニングでは、住民自らが安全なシェルターの必要性を理解し、行動を起こせるよう促すための手法を、参加した32の地元団体のスタッフに伝えました。このトレーニングを通して、今後起こりうる災害から一人でも多くの命を守るために必要となる防災への理解を高めることができました。
一方、地震被害を受けたカブレパランチョック郡で、被災者一人ひとりに寄贈された250個の寝袋を配布しました。
また、首都カトマンズから北西に位置するヌワコット郡で、同月、震災後初めて到来する冬支度に備えウィンターキットの配布を行いました。キットには、懐中電灯、毛布、ショール、そしてシェルターを温める断熱用の発泡ウレタンフォームが含まれています。地元行政そして、地元ボランティアの協力の元、ヌワコット郡にある4つの村に計2,424個のキットを配布。ヌワコット郡の地域支援担当官は「私たちの地域で支援を行ってくださりありがとうございました。今後も、ハビタットと共に、住まいの再建や生活改善に向けた活動を行い、地域全体の再建に取り組んで参りたいと思います」と話します。
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これらの支援活動の一部は、真如苑様をはじめ、企業や団体、個人の皆さまからお寄せいただいたご支援により取り組まれています。ネパール情勢の改善に伴い、一日も早く、一世帯でも多くの家族が安心して暮らせる場所を取り戻せるよう、ハビタットは引き続き地元の行政やパートナー団体、ボランティアと連携し支援に取り組んでまいります。
◆ バックナンバー
2015.10.27【ネパール地震 第9報】寄付金受付終了、住宅診断を終えて中長期支援へ
2015.08.10【ネパール地震 第8報】HuMAT支援、6,000軒の診断を完了
2015.07.27【ネパール地震 第7報】HuMAT支援を実施中です
2015.06.22【ネパール地震 第6報】HuMAT支援とは  
2015.06.08【ネパール地震 第5報】HuMAT支援を開始しました
2015.05.27【ネパール地震 第4報】シェルターキット配布開始
2015.05.03【ネパール地震 第3報】シェルターキットの配布へ
2015.05.01【ネパール地震 第2報】被災者支援のため調整を進めています
2015.04.25【ネパール地震 第1報】現地調査を開始、寄付を受け付けています