国内居住支援プロジェクト「プロジェクトホームワークス(PHW: Project HomeWorks)」は、2017年春から少しずつ動き始めています。快晴に見舞われた4月16日(日)、ハビタットの活動に取り組む学生団体(キャンパスチャプター)に所属する14名の学生ボランティアによる協力のもと、都内を歩いて回り、地域の実地調査とあわせてPHWの案内を配布しました。それから数日後、案内を届けたお宅から一本の電話がありました。

4月20日、事務局でインターンを務める学生1名を連れて、スタッフがお宅を訪問し聞き取り調査を行いました。

ご依頼をくださったAさんは80歳というご高齢ながら、ご両親と死別してからは一人で実家に住まわれているとのことでした。ご家族と過ごしたご自宅に深い愛着を持ち、たくさんの思い出の品を大切に残しています。しかし現在はご高齢であること、そして体調の悪化も伴い、自宅を一人で片付けることが難しく、ハビタットに部屋の片付けを依頼したいとのことでした。実際に、広い敷地と大きなご自宅の中には、長い生活の歳月を伺えるほどたくさんの物が散乱し、足の踏み場もないほどの状況でした。

ところで、日本の福祉を支える社会保障制度は国民の生活を支えるには乏しいのでしょうか。実際はかなり細やかな福祉サービスが設計されています。ご高齢で独居のAさんも、お話の中で高齢者福祉サービスを利用していることが分かりました。しかしながら、様々な福祉サービスが制度として整っていたとしても、それを利用する人が適切にサービスを選び、最も必要なタイミングで活用できていないようです。それは社会保障制度の隙間といえ、解決すべき課題です。Aさんのお宅の片付けはまさにその一つでした。「安心・安全に暮らせる住まいは健全で豊かな生活を営む基盤」と考えるハビタットは、一日も早くAさんが安心して過ごせる場所を取り戻せるよう、お話を伺った直後から家の片付けを開始しました。

その日お手伝いできたのは限られた時間でしたが、数時間で45リットルのゴミ袋が5つも満杯になってしまいました。ご自宅の片付けといっても、何を残し、処分するかはご本人にしか判断できないことです。Aさんのご意向に沿って必要なものとそうでないものを選別して進める必要がある上に、前述した通り、お一人で住まうにはかなり大きなお宅ということもあり、すべてが片付くにまでにはかなりの時間がかかりそうです。住まいをファーストに考えるハビタットは、Aさんのお宅が元の状態に戻らないように、じっくりと時間をかけながら、ボランティアと共に家の片付けを進めて行きたいと思います。

ハビタットの強み、それはキャンパスチャプターの学生をはじめ、多くのボランティアが活動を支えてくれていることです。この強みを生かし、PHWでは人手を必要とするお片づけなどの支援から、プロボノ大工などの協力を得ながら、ボランティアでもできる簡易的な住まいの修繕に取り組むなど、一人でも多くの方の住まいがより安心・安全に過ごせる場所となることを目指しています。今後とも本活動へのご支援をよろしくお願いいたします。ご支援はこちら