立命館守山高校(滋賀県)は、2012年の夏から年に一度ハビタットの海外建築ボランティアプログラム(GV: Global Village Program)に参加し、タイの首都バンコク近郊のパッテゥンタニ県で取り組まれる住居建築支援を支えています。そして、今年の春も19名の生徒と2名の先生からなる総勢21名のチームをジ結成し、3月の上旬からパッテゥンタニ県で建築活動に取り組んでいます。

そんな彼らが昨年の春出会ったご家族がラチャノクさん一家です。大学生の娘を抱える4人家族のラチャノクさんは、夫婦共働きですが、その収入は教師になりたいという夢をもつ娘の学費など、日々の生活を賄うのが精一杯で、家を建て替えるには十分な貯金を蓄えることが厳しい状況にありました。一方で、ラチャノクさんが住む地域でハビタットが低所得者層向けの住宅支援を行っていることを知り、一家はハビタットに住宅支援を申請しました。それから、2年、ボランティアチームを待ち続けた2016年の春、立命館守山高校のGVチームが一家のもとにやってきました。 

ラチャノクさん一家がこれまで暮らしていた家は、老朽化した、構造的にも脆弱な家でした。家といっても、室内には部屋の仕切りがなく、蚊帳で寝室をわけるなど工夫して暮らしていました。また、老朽化により床板は雨が降るとしなり、いつ穴があいてもおかしくない状態で、家の脇に設置されたトイレはトタン家で覆われ、衛生状態が好ましくありませんでした。

  • 以前暮らしていた家

  • 寝室は蚊帳で区切られていた

  • 以前使用していたトイレ

あれから一年、ラチャノクさんのお宅を訪ねると、建築途中だった家が完成し、家の外壁には明るい塗装が施され、更に明るい表情を見せるお母さんが出迎えてくれました。そして、今の生活を共に築いてくれた立命館守山高校のGVチームを思い出すと、「出来ることならもう一度日本の高校生に会って、完成した家を見てもらいたい」と涙ぐみながら話してくれました。

ラチャノクさん

立命館守山高校の生徒と築いた家が完成してからの変化を伺うと、「家の心配をしなくてもいい分、仕事に精を出して働くことができ、結果的に収入も増えて少しずつ貯金もできるようになりました。生活は前よりずいぶん楽になりました」と教えてくれました。また、安心して暮らせる家を持てたことで、家族みんなで暮らすことができるようになり、精神的に安定したと話します。なぜならば、ラチャノクさんが以前暮らしていた家は老朽化が進んでいるだけでなく、防犯上の不安も抱えていたので、娘を一人家に置いておくことができない状態でした。そのため、新居を手にするまで娘さんは離れた親戚の家で暮らしていました。娘との生活を取り戻したラチャノクさんは、「今は娘の顔が見られるし、娘も私にあまえられるようになったわ」と笑顔で話します。 健全な生活を手にしたことで、結果、貯蓄を蓄えることができるようになったラチャノクさんは、以前住んでいた自宅の土地を耕し、きのこ栽培を新たに始めようと計画しています。

  • 一年前に完成した新居

  • コンクリートで覆われたトイレを再建

  • ご両親と娘さんの部屋

立命館守山高校のGVチームが建てたもの、それは”家”だけでなく、ラチャノクさん一家が健全で豊かな生活を営むきっかけとなった基盤。ラチャノクさんにとって、新しい一歩を踏み出す基盤を築いてくれた立命館守山高校のチームは忘れられない日本の高校生になりました。ラチャノクさんの肩に掛かる飾りは、チームがご家族に渡した手作りの腕輪です。「これは宝物だから」と、今も大切に家の中に飾っているそうです。

ラチャノクさんのような家族がタイをはじめ世界中でGVチームによる支援を待ち望んでいます。あなたもGVに参加して、幸せを築きませんか。GVプログラムの詳細はこちら