ハビタット・ジャパンは、2016年夏から、インドネシアのジャワ島中部に位置するジョグジャカルタとタイ南部に位置するクラビでコミュニティ支援を開始しました。海外建築ボランティアチームをこれらの土地に派遣することで、現地の住居建を支える他、コミュニティ全体の発展に必要な支援を日本から届けていくことを目指しています。
2月、現地の状況と現在抱える喫緊の課題把握、そしてハビタット・ジャパンとして今後取り組むべくサポートを計画するために、スタッフがジョグジャカルタで現地調査を行いました。支援を行っているコミュニティは、ジョグジャカルタ中心部から車で45分くらいの場所に位置するセロパミオロ村(セロ)です。セロは全部で18の集落からなる大きな村で、この村の住民が抱える住環境や衛生環境の問題に取り組むために、2014年10月から支援を開始しました。現在は、その集落の2つ、スルンゴハムレットとカリダダップで住居建築やトイレの設置支援に取り組んでいます。
セロを歩くと、中にはしっかりと建てられた家も見受けられましたが、その立派な家の裏に隠れるように、築50年以上も経つ、竹で建てられた老朽化した家が数多く見受けられました。そういった家は竹が変色し、老朽化から竹がゆがみ、壁には無数の穴が開いています。その穴からは居室内に害虫が忍び込む上、雨風も入ってきてしまうとのことでした。また、トイレなどの衛生環境が整わない家庭も多く、ご近所の方にお借りする方や、屋外排泄を余儀なくされる場合があると話していました。視察で出会ったご家族の中で特に印象的だったのが、ご自宅の目の前に段々畑の素晴らしい眺望が広がる、とても美しい景色が見られる場所に家が建っていたご家族です。しかし、彼らの家はその景色に背を向けるように建てられていました。話しを聞くと、恥ずかしい家に住んでいるから道行く人に自分たちの家を見られたくないからとのことでした。このご家族だけでなく、セロでは多くの家族が住まいの支援を必要としています。
その他、コミュニティ全体の課題としては、コミュニティ活動の拠点となる施設が整備されていない点が上げられます。モスクや幼稚園などのコミュニティ施設は、集落それぞれからの要望に沿う形で、政府が支援します。しかし、その資金は限られているため、コミュニティが必要とする大きさの建物が建てられるわけではありません。訪問した幼稚園は15畳ほどの広さしかありませんでした。この場所に20人から25人の子どもたちが集まり、マットなど敷かれていないむき出しの床の上でぎゅうぎゅうに座り、人数分もない文具を使ってお絵かきをしたりするそうです。幼稚園にはトイレが1つしかなく、キッチンも備わっていないので、周辺の民家が協力して子どもたちに昼食を届けている状況で、その昼食の準備の担当者を決めるのも大変とのことです。先生も毎日は通えないため、幼稚園に登園できるのは週に3日ほどです。その他、集落にはコミュニティセンターが備わっていないため、集落を纏めるリーダー(チーフ)は、チーフの家で住民と会合を開き、意見交換、希望・要望を出したりするそうです。チーフに話しを伺うと、「今すぐ必要なものはコミュニィティセンターと広い幼稚園です」と話していました。自宅ではスペースに限りがあるため、コミュニティセンターがあれば会議だけでなく、集落のイベントや大勢での集まりにも使うことができる上、住民が気兼ねせずに集まれる場所があれば、今は劣悪な家に住んでいる人々もハビタットが建築活動以外でもコミュニティ全体をサポートしていることで、自分も見捨てられてはいないと未来に希望が持てるようになると思っているそう
です。
今回の現地調査を受け、ハビタット・ジャパンはコミュニティ支援の第一歩として、まずはスルンゴハムレットとカリダダップにコミュニティセンターを建てることを約束しました。コミュニティセンターの建築には、100万円を超える建築費用が必要になります。スルンゴハムレットとカリダタップの住民がきちんとした住まい、そしてコミュニティを持てるよう、皆さまからもご寄付をお願いいたします。ご寄付はこちらから。
その他、ご寄付以外の支援方法は、この記事をシェアいただく、または海外建築ボランティアプログラム(GV: Global Village Program)に参加し、セロでの住居建築をボランティアとして支えてください。
◆バックナンバー
2016.06.08 【GVコミュニティ】今夏よりインドネシアとタイでコミュニティ支援を開始