「エリザベス・サンダース・ホーム」は1948年に設立された、神奈川県にある最大規模の、最も歴史ある児童養護施設の一つです。現在、施設は10つの寮を敷地内に構え、2歳から20歳までの子どもたちの養育にあたっています。しかし、施設にあるいくつかの寮では、喫緊の修繕を必要とする上に、コロナ禍の感染対策に課題が残るなど、子どもたちが安心、安全に暮らしていくために、住環境の改善を必要としていました。
そこで、ハビタットではファンドレイズに取り組み、2022年6月から2023年5月にかけて、施設内にある男子寮「朝凪寮」の改修支援に取り組みました(詳細はこちら)。そして、先月、第二期目となる男子寮「太陽寮」の改修プロジェクトを完了しました。
「朝凪寮」も「太陽寮」も、施設内にある最も古い建物にある寮です。それぞれの寮は、大部屋をパーテーションで区切り、子ども達のプライベート空間を確保していました。寮内の壁や床、後付けで設置したパーテーションは傷みが目立つ上に、パーテーションで区切られた子ども達の居室スペースは電球の灯りがあたらず、全体的に暗い印象でした。
第二期目となった「太陽寮」の改修は、2023年秋ごろにプロジェクトが始動しました。施設スタッフと本支援に協働くださる建築家、そしてハビタットを交えて、寮の実地調査とヒアリングを行うなど、ニーズ調査から始まりました。そして、丁寧に施設の要望を伺うことで、改修支援では、床や壁、窓枠の交換に加え、新しい照明、エアコン、煙感知器の設置を行うことが決定しました。また、「太陽寮」で暮らす子どもたちの年齢を18歳以上と想定し、子どもたちの自立と地域移行を促進できる空間となるよう、木製パネルを使った個室づくりが決定しました。プロジェクト始動から10ヵ月、全ての改修工事が完了し、ボランティアの協力のもと、各個室に寄贈するベット、机、収納棚の組み立てを終え、本プロジェクトが完了しました。
6月末、施設のスタッフや子どもたち、またご支援をお寄せくださった企業の皆さま、個人の皆さまをお招きし、「エリザベス・サンダース・ホーム」で竣工式を開催しました。本プロジェクトは、改修支援に支援金や物品をお寄せくださった皆さまをはじめ、ハビタットのチャリティガラを通じて寄付をお寄せくださった個人の皆さま、またボランティアとして活動にご協力くださった皆さまのご支援により実現することが出来ました。役職員一同心より感謝申し上げます。
施設修繕は、児童養護施設や母子シェルター、また地域に欠かせない施設などの改修を通じて、誰もが安心、安全に暮らせる住まいを実現することで、社会的に脆弱な立場に置かれた子どもや女性を支援する、ハビタットの国内支援プログラムの一つです。企業や個人、またボランティアによるお支えのもと、ハビタットはこれからも「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現に向けて、住まいを整えることで人々のエンパワメントに取り組んでまいります。