4月中旬、ハビタットが活動する輪島市門前町の町並みも満開の桜で覆われました。川沿いやお寺、学校近く、山もピンク色に変わり、門前町にこんなに沢山の桜がたくさんあったのか!と、桜が咲いて初めて気づかされました。能登の厳しい寒さに耐え咲いた門前町の名花、雪割草に続き、この満開の桜が、門前町にも春の訪れを知らせてくれています。

3月末から4月上旬にかけて、門前町でも仮設住居への入居が開始されました。避難所から仮設住宅へ、仮の住まいではありますが、ここから個々の生活が始まります。緊急期が終わり、復旧復興にむけて、少しづつではありますが着実に前に進んでいっていることを実感します。

仮設住宅の入居に伴い、家具も何もないお部屋に入居された住民から聞こえるのは「物が平置きになってしまい、スペースがない」という声。狭い居室の中をうまく利用し、心地よい居住スペースを作っていくためには、収納する場所が必要です。


そこでハビタットでは、2月から3月にかけて避難所で行なってきた「棚づくりワークショップ」を、4月上旬より仮設住宅でも開始しました。棚づくりの主役は住民ご本人。下駄箱、キッチン横の電子レンジ置き場、押し入れを仕切る棚、トイレ内の物置棚など、それぞれのご要望に合わせて採寸し、ボランティアが設計・制作のお手伝いをしながら、一緒に棚を作っていきます。今回使う木材も、組手什(くでじゅう)という、用途に合わせて好きな長さに木材を加工し、大きさと形を選んで簡単に組み立てられる木材を用いています。

住民とボランティアが一緒に組手什を組み立てながら、自然と会話や笑顔が生まれてきます。完成した棚を設置場所まで運び、ピッタリとはまった時に、自分が思い描いていた空間ができる嬉しさがあります。ちょっとした困りごとが改善された時に出てくる笑顔がとても印象的です。こういった一つ一つの小さな積み重ねが、安心した住まいにつながるのだと実感した瞬間でした。


活動に参加しだ学生ボランティアからは、「一番印象に残ったのは、仮設に入居された住民の方と組手什を組み立てた時間で、棚が出来上がってお宅に運んで行き、収まった時の嬉しそうな顔が忘れられません。束の間でも小さな喜びを感じてもらうこと、それを積み重ねて行くこと、本当に大事だと感じました。その一助になれたのならとても嬉しいです」という感想が寄せられました。

ハビタットでは引き続き、門前町の各仮設住宅において「棚づくりワークショップ」を開催し、仮設住宅に暮らす方の住環境改善に取り組んでまいります。能登半島地震被災者支援へのご支援はこちらよりお願いいたします。


※被災地でのボランティア活動には「赤い羽根「災害ボランティア・NPO 活動サポート募金」(ボラサポ)の助成を受けています。