能登半島地震の発生から一ヵ月を迎えました。「ここ(避難所)にいると1月1日のまま時間が止まっているような感じ」そういった声が被災された多くの方から聞かれます。ハビタットは1月12日より能登半島地震で被災した石川県内の地域で初動調査を実施し、輪島市門前町に拠点を構え、緊急支援の取り組みを続けています。

門前町での本格的な支援開始にあたり、まずはじめに取り掛かった支援の一つが避難所内の居住環境を改善する取り組みです。門前町は古い家屋も多いことから、建物被害が甚大な上に、地震の揺れにより上下水道が使えなくなり、避難生活の長期化が想定されました。

しかし、初動調査の際に目にした避難者の生活は、一部の方はタイル張りの床に段ボールを敷き、その上に毛布を掛けた場所を寝床代わりに生活されていました。次第にダンボールベットが行きわたるようになり、底冷えは防げるようになりましたが、マットがない方は毛布を敷布団代わりに生活され、中には硬さを訴える方もいました。

自宅に戻ることができない方にとっては、避難所は一時的でも応急仮設住宅に移り住むまでの生活の基盤です。そこで、住まいの団体として、避難されている方々が少しでも体を休めることができるようにという思いから、必要な方へのマット配布の検討を開始しました。幸いにも、熊本地震の際に連携した被災地NGO恊働 センターの協力により、井前工業株式会社様よりウレタンマットの無償提供が実現しました。

一日も早いマットの配布に向けて、ハビタットは門前町地区にある20近くの避難所を訪れ、ウレタンマットの必要性を聞いて回ることができました。避難所は、地域の拠点避難所として指定されている小学校や公民館など、大規模な避難所もあれば、同じ集落またその周辺の集落の方が集会所を利用する小規模な避難所、また集会所が使えない地域では、集落内の会社やビニールハウスを避難所として使用されていました。避難所の訪問を通して、「地域のつながり」が避難者の生活を支え、健康、そして生活再建への活力になっている様子も見て回ることもできました。その他にも、各避難所の物資ニーズは、既にマットをはじめ、必要な物資が十分に届いている場所もあれば、支援物資が十分ではない場所もあるなど隔たりを知ることができました。

こうした調査を経て、合計150枚のウレタンマットの要望をいただくことになりました。追加でマットの要望が出てくることも考え、最終的には計200枚を井前工業株式会社様より寄贈いただきました。

配布当日、同社の皆さまがマットを門前町の各避難所まで配送くださり、社員の皆さまにご協力いただきながらスムーズに各避難所へとマットの提供を行うことができました。配布を開始すると、「追加で19枚いただけますか?」といった追加の要望が寄せられるなど、配布開始から数日で200枚のウレタンマットの配布が全て完了しました。

マット配布を終えた翌日、避難所の一つを訪れると、「マットがありとても助かりました!今まではダンボールが固くて何回も夜中に目が覚めて寝返りしてましたけど、マットがあるとずいぶんグッスリ眠れました。ありがとうございます」という声が寄せられました。

ハビタットは、避難されている方が避難所で安心、安全に過ごせるよう、居住環境の改善への取り組みを続けると共に、生活に必要な物資ニーズに応え、支援団体と連携して物資の配送を継続しています。

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