ジョンソン株式会社と協働で取り組む修繕支援の一環として、9月より神奈川県横浜市にある寄り添い型支援事業所の修繕に着手しました。

事業所を訪れると、その佇まいは昔ながらの日本家屋そのもので、玄関扉を開けると、畳の部屋が広がり、まるでおばあちゃんの家に遊びに来たようなアットホームな雰囲気に包まれています。建物は築50年以上が経つそうですが、丁寧に維持管理されていることが一目で伺えました。

事業所には、母親が病気がちであったり、仕事が忙しいなど養育に手が回らない家庭に育つ小学1年生から中学3年生が通っています。スタッフの古川さんにお話しを伺うと「家庭の代わりはできないけれども、ここに通う子どもたちは、様々な人と触れ合いながら、本来家庭で学んでいく日常生活習慣を習得していきます。私たちは、子どもの育ちに寄り添いながらたくさんの体験を通して、生きる力・学ぶ力・頑張れる力を身に着けてもらうことを目指しています。昔は長屋のような、地域のみんなで子どもを育てていく環境がありました。しかし、今はそういう環境が失われつつあります。ここが隣のおばあちゃんの家みたいな、居心地の良い場所となるように、家庭内の悩みや育ちに細く長く寄り添い続けています。子どもたちにリラックスしてもらい、安心して過ごせることのできる環境を整えることで子どもたちと信頼関係を築いていきます。」と教えてくれました。

子どもたちは、予め決められた曜日の放課後にこの事業所に通い、スタッフやボランティアの方と一緒に、学校の宿題をはじめ、苦手な科目を復習するなど学習面の習慣から、お箸の使い方や挨拶の仕方、また料理など、家庭で身に付ける日常の生活習慣を身に付けたり、何より皆で遊ぶことによって家庭的な雰囲気を経験します。こうした経験の積み重ねが、子どもたちの自尊感情や非認知能力も培っているそうです。

しかしここ数年、事業所ではネズミによる被害に悩まされていました。食料支援でいただいた食べ物がネズミに荒らされ、どこからか「チュウチュウ」という鳴き声が聞こえてくるのを目の当たりにすると、子どもたちは怖がるのも無理もない状況でした。また、台所の吊戸棚を開くと、ネズミの糞がたくさん見つかるなど、衛生面からも、子どもたちが安心・安全に過ごすためにネズミ駆除は最優先に取り組む必要がありました。しかしながら、こうした駆除は、外部からの新たなネズミの侵入を防ぐ必要もあり、超音波機械の設置をはじめ、空いた穴を塞ぐなど、その費用の工面に事業所は課題を抱えていました。

この事業所は、ここに通う子どもたちが本来は家庭で経験することを補填する場であり、自立に向けた生活基盤を整える上で欠かせない居場所です。ハビタットでは、ジョンソン株式会社によるご支援のもと、子どもたちが安心・安全に過ごせる場所を取り戻すために、ネズミ駆除をはじめ、老朽化した台所の修繕の実施を決定しました。ネズミ駆除の当日、事業所を訪れると、スタッフの古川さんは「本当にありがとうございます。これで安心してキッチンが使えます。」そう感謝の言葉を口にし、「おやつやご飯を調理し食べることは、作る喜び、食べる喜びを共有でき子どもたちは大変喜びます。また、子どもたちにとって欠かすことのできない大切な体験学習の場でもあります。キッチンが入れ替わり、コロナが落ち着いたら、子どもたちと毎月のお誕生日会を再開し、一緒にケーキを作りたいです」そう嬉しそうに語りました。

ハビタットの修繕支援は、児童養護施設をはじめ、母子生活支援施設といった実際に居住する施設のみならず、子どもたちが安心して過ごせるこのような居場所を整えることで、すべての子どもたちが健全で豊かな未来を築ける基盤作りを目指しています。


◆バックナンバー
2021.06.25 ハビタット・ジャパンとジョンソン株式会社協働による横浜で施設修繕を実施
2021.04.01 ジョンソン株式会社と協働 児童養護施設の修繕を通じて、未来の懸け橋を築く