「部屋の中を歩くだけで、毎日が障害物リレーでした」そう話すのは都内に暮らすシングルマザーの内田さん(仮名)です。内田さんは持病を抱えながら幼いお子さんをお一人で育てています。体力的な問題から今は仕事に就くことができない上に、片付けへの気持ちはあるものの子育てで精いっぱいの様子でした。

お子さんがまだ小さい頃は2LDKのお住まいに暮らしていたそうですが、その時の荷物を抱えて小さなアパートに引っ越しをされたそうです。そのお部屋は今のお住まいよりも狭く、部屋の天井近くまで段ボールが積み上げられた生活だったといいます。そして、それらの荷物をすべて抱えたまま今のアパートに引っ越しされたのが3年前だそうです。「子どもが部屋の中のものに躓いてしまう」そう相談を寄せてくださった内田さんが話す通り、スタッフが事前に下見訪問に伺うと、内田さんのお宅は足の踏み場もないほどに荷物が床を覆っていました。どの母親も抱くように、内田さんも我が子を健全な環境で育てることを心から望みつつも、その思いとは裏腹に、体の自由が思うほど利かない上に、周りに頼れる家族や知人がおらず、こうした状況のまま3年が過ぎていったそうです。

  • 下見の際、床に物が散乱している状態

  • 無駄なスペースの多い押し入れ収納

  • 仕分け後に収納場所がなく置かれた物

そこでハビタットとして内田さんのお宅の居住環境の改善を支援することになりました。ただ、支援開始時期が年始の緊急事態宣言中であったこともあり、スタッフ2名で内田さんのお宅を訪問することになりました。それぞれのスタッフが各部屋に別れて片付けを進めました。寝室の片付けでは、床にあるものの分別を行うことから始め、2回目では、内田さんが望む生活導線を確保するために、洋服ラックの配置を変え、押し入れの中の片付けに着手しました。押し入れは昔ながらの広い押し入れだったのですがスペースをうまく活用できていなかったので、収納棚を入れることにしました。そして先日最後の訪問となった3回目では、押し入れに4つの収納棚を入れ、分別され床に残されたままとなった物の収納に着手しました。これらの収納棚は、ご寄付でいただいたすのこ板を使ってスタッフが製作したお手製の棚です。棚が押し入れの中にすっぽりと納まると、内田さんもお子さんも大喜び、嬉しさのあまりに自然と拍手をされていました。

  • DIYで収納棚の製作

  • 完成した棚を押し入れに設置

  • 収納がしやすくなり、床がすっきり

初めて足を運んだ時、3回の活動で部屋の片づけを終えることができるか心配が残りましたが、内田さんご自身の努力もあり、二部屋ともに床の物を片付け、整理することができました。2回目に訪問した際には、「長い間とっておいた箱を捨てることができました」と満面の笑みでスタッフを迎えてくれる姿もありました。
3回に分けて活動に入ってくださったことが、判断力が鈍っていた私にとっては有効でした。物の把握をすることもできたし、自分一人では判断できないことに知恵をかり、捨てられなかったものも捨てられました」そう話されながら、これからの生活に目を向けていた内田さんです。

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