「障がいがあるだけでだめだと、それは差別と同じです」そう話すのは、新しい住まいをお探しの川田さん(仮)です。川田さんは車いすで生活されています。今のお住まい自体に不満はないそうですが、地域的に水害に見舞われる可能性があることに加え、今後就労することを考えると交通の便の良い場所への引っ越しを希望されています。

これまでも一人で物件を探し何度か転宅したことのある川田さんですが、ハビタットに支援を求めた理由を伺うと、「世の中、障がい者に冷たいから、味方が欲しかった」と教えてくださいました。今回の転宅にあたり、住まい探しをサポートしてもらえるよう川田さんが最初に相談を寄せたのは区の窓口だったそうです。そこで住宅確保要配慮者への支援を行う東京都の「居住支援法人」を紹介され、いくつかの団体に連絡、その一つであるハビタットに相談することにされたそうです。

物件探し初日、川田さんと駅で待ち合わせをし、不動産仲介会社を訪問しました。担当者の方はとても親身な方で、なぜ引っ越しが必要か、どういった場所を希望しているのか、その家賃帯について川田さんに希望を聞いて下さり、希望に沿った物件探しをお手伝いしてくださいました。しかし、限られた家賃で車いすの方が暮らせるバリアフリーに近い住まいを探すことは難しく、さらに、賃貸物件を契約するには、不動産仲介会社からの物件紹介を得て、物件を所有する管理会社、そして物件を所有するオーナーの審査に通らなければなりません。たとえ希望に沿う物件が見つかっても、管理会社の審査で内見まで行き届かないことも多く、この日も結果的に2時間の時間を要して見つけられた物件は1軒のみとなりました。

不動産を借りるまでに管理会社や不動産オーナーの審査がある中で、さんざん断られてきた経験があると川田さんは話します。「顔も見ない相手を、障がいがあるだけで不合格とする社会、そんな社会を変えてほしい」、そう伝えてほしいとハビタットのスタッフに訴えていました。

この日訪れた物件は、物件そのものは希望に沿ったものでしたが、駅から物件に続く長い坂道がありました。車いすである川田さんにとっては難しい選択です。川田さんが安心・安全に暮らせる住まいに移り住めるよう、ハビタットは引き続き住まい探しをサポートして参ります。住まい探しの詳細はこちらをご覧ください。