ハビタットが都内を中心に取り組む居住支援「プロジェクトホームワークス」では、ご高齢であることや障がいを持つことで片付けが困難な方に寄り添い、清掃や簡易的な修繕を通して居住環境の改善に取り組んでいます。
9月に支援させていただいたのは、60代後半の田中さん(仮名)です。20年以上前に母親が施設に入所してからは、生まれながらの実家にお一人で暮らされています。難聴を抱えていますが、体は元気で、定期的なお仕事につかれています。ただ、問題は片付けがひどく苦手なことだそうです。
田中さんがハビタットを知ったきっかけは、田中さんのお兄さまからのご相談がきっかけです。「昔から母親も片付けが苦手な人だったから、そこが似てしまってね。ただ、自分が何を言っても聞き入れないから」そう悩みを抱え、ハビタットに片付けの相談を寄せてくれました。小さな頃から田中さんとの折り合いは悪かったそうですが、家の状況を見かねて、これまでに5度ほど片付けに入ろうとしたそうです。ただ、片づけ始めて少しすると毎回ご本人の姿がなくなり、結果片付けが進まなかったそうです。そこで、ハビタットのプロジェクトホームワークスを知り、相談を寄せてくださいました。
活動当日、ハビタットの企業パートナーである アシュリオンジャパンから3名のボランティアが田中さん宅に駆け付け、活動をお手伝いくださいました。田中さんはとても気を配る方で、事前打ち合わせの時から、ボランティアの体調を気にかけ、活動開始前には家の前でボランティアを待ち構えていてくださいました。
田中さんが暮らすお住まいは、床が抜けそうな箇所や天井に穴が開いている所があるなど、老朽化が進んでいました。また長年放置された沢山の物は土埃にまみれている状態でした。ご本人が捨てることに同意してくださらなかったら、という一抹の不安もありましたが、そんな不安をよそに活動開始から順調に片付けが進みました。田中さんご本人が積極的に物の仕分けに参加し、ボランティアのサポートを受けながら不要になった物をゴミ袋にしまい、みるみる内に大量のゴミ袋が出されていきます。また、部屋の中にはいくつものペットボトルや缶が貯められていましたが、その多くが賞味期限が切れている状態です。ご本人に廃棄の確認をすると「捨てられないからね、今捨てます」そう同意くださり、短い時間でしたが期待してた以上に片付けが進みました。また良かったことは、ご本人が「捨てられないタイプ」と自覚し、ボランティアの存在が一歩を踏み出す大きな原動力になっていることでした。活動を終えると、田中さんは何度も「ありがとうございました」とボランティアの皆さんに労いの言葉をかけてくださいました。
田中さんの場合、ご高齢ですが、自活力があるため、片付けはご自身で行う必要があります。ただ、ご自身の性格上片づけられない、物を捨てられないことで、気が付いたら安心・安全とは程遠い居住環境に陥ってしまっているようでした。物を沢山買いこむ人ではなく、長年かけて物がたまってしまった田中さん。ハビタットの支援を機に片付けを進めることで、苦手であった物を捨てることが克服できるようになることを期待していますが、まずは今ある住まいの状況を改善すべく、ハビタットでは、引き続き田中さんの居住環境の改善に取り組んで参ります。
アシュリオンの皆さま、活動へのご支援、そしてご参加ありがとうございました。