私たちが暮らす身近な地域にも、外からでは見えない住まいに課題を抱えている方がいます。例えば、高齢であることや、障がいを持つことで、体の自由が利かなくなったり、悩みごとを抱えて気力を失ったりと、様々な事情によりご自身での片付けが困難となり、時に室内の安全性や衛生さを欠く状態で暮らしている方がいます。ハビタットは、2017年から国内居住支援「プロジェクトホームワークス」を展開し、こうした住まいに課題を抱える方に寄り添い、ボランティアの協力を得ながら、片付けや重たい家具の移動、簡単な修繕を行い、住まいの環境改善に取り組んでいます。
ハビタットが出会ってきた方の中には、年齢の積み重ねとともに、いつの間にか床にモノが散乱する状態が続くようになってしまったお一人暮らしの女性や、長年集めた愛着のある本が積み重なり、気が付けば寝る場所の確保も難しくなってしまったご夫婦もいます。また、生まれつきの不器用さのために片付けが苦手だった若い方など、住環境が悪化してしまった事情や背景は様々ですが、多くの方が安心・安全に暮らせる住まいを取り戻したいという思いからハビタットに相談を寄せてくださっています。ハビタットでは、それぞれの状況を踏まえ、ボランティアとともに、目の前の住まいの課題を乗り越えるお手伝いをしています。
この活動を昨年より支えてくださっている企業パートナーの一つがニューヨークに本部を置くメットライフ財団です。ハビタット・フォー・ヒューマニティ・インターナショナルとグローバルパートナーシップを締結し、日本での国内居住支援「プロジェクトホームワークス」を支援くださっています。また、メットライフ生命からは社員の方がボランティアとして活動に参加くださっています。
青空が広がった5月22日、メットライフ生命から計20名のボランティアが、片付けと清掃サポートの活動に参加しました。まずは午前参加の11名が集まり、チームに分かれて2世帯で活動を開始しました。それぞれのお宅で取っておくものと捨てるものの分別や、処分するものの運び出し、清掃などを行いました。ホームパートナーとお話をしながら取っておくものを確認し、本や洋服を段ボールなどにまとめて整理整頓する作業も同時に進めました。二度目の参加となるボランティアさんがいたこともあり、効率だけを考えるのではなく、ご本人の気持ちを大切にする雰囲気が自然と生まれました。
活動した両世帯とも、住まいの状況としては衛生面がかなり悪化している上、物が散乱していることから安全面でも配慮が必要でした。作業量も多いことから、午後には新たに10名のボランティアが集まり、午前のチームからバトンを受け取り片付けにあたりました。
午前チームと午後チームのメンバー全員が集まった昼食は、感想の共有と引継ぎの時間になりました。それぞれの家の状況、作業の流れや集中して取り組むべき点、ホームパートナーの様子などが詳しく申し送りされました。チーム力が発揮され、バトンを受け取った午後から参加のボランティアもスムーズに作業を行うことができました。
後日、今回の活動に参加された社員ボランティアの皆さまから、たくさんのフィードバックをいただきました。いくつかご紹介させていただきます。
「終了時に‘きれいになりました。ありがとうございます。’という言葉をいただいた時に報われた思いがあり、大変うれしかった」
「なぜこの状況になったのかなど複雑な想いが去来したが、できればまた同じ部屋へうかがってよくなっていることがわかるとよいと思った」
「自身の家族のことに想いを馳せながら作業をすすめたが、考えること、思うことが多くあった」
「事前にもう少し様子がわかっていれば、どう片付けていくかなど対応できたかとも思う。継続的な支援が重要と感じた」
「最後にお礼を家主からいわれた際に片付けの中から発見された帽子をかぶって、明るい表情をされていたことが癒しとなった」
本活動を応援し、継続的に取り組んでくださるメットライフ財団をはじめ、メットライフ生命のボランティアの皆さま、ありがとうございました。ハビタットは今後も、企業パートナーをはじめ多くのサポーターとともに手を取りあいながら、私たちの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」を発展させて参ります。