3年前の夏に日本の海外建築ボランティアチーム(GVチーム)が住居建築に携わったスマルティーニさんのご自宅をこの2月、ハビタット・ジャパンのスタッフが再訪問しました。スマルティーニさんは、ハビタット・ジャパンがコミュニティ支援に取り組むインドネシアのセロパミオロ村(セロ村)に住んでいます。旦那さんを早くに亡くし、以来シングルマザーとして一人娘を育てています。

スマルティーニさんのお宅につくと、新たに設けられたガーデニングスペースが目に飛び込んできました。ガーデンスペースにはお花や植物が植えられ、鮮やかな緑の中にお花の色が輝き、家の前を飾っていました。スタッフが到着すると、笑顔で出迎えてくれたスマルティーニさん。挨拶を交わすと、少し前に仕事から帰ってきたところだと話していました。ハビタットが住まいの支援を行う前は、チキンヌードルを路上で売っていたそうです。このチキンヌードルは、地元民が手ごろな値段で買える食事を指す「Cat Rice(キャットライス)」のうちのひとつです。その当時、路上で商売をしていた頃は、日によって売上が異なるため、収入は不安定だったそうです。ヌードルが売れても売れなくても、毎日食材を購入し準備はしなければならなかったため、最終的には月の収支でみると赤字の月もあったと話します。

ハビタットによる支援を受けて新居が完成した後、スマルティーニさんは収入を確保するためにチキンヌードルの販売を辞め、安定した収入が見込める野菜の訪問販売を始めました。野菜は隣町にある市場まで行き、そこで大量に仕入れ、セロ村の家々を回り訪問販売をしています。こうして稼ぐ売り上げは、一日に70,000インドネシアルピア(約530円)ほどになるそうです。その収入を元に、願っていた娘の高校進学を実現させることができました。インドネシアでは、公立高校に比べて私立高校のほうが教育レベルは高く、手に職がつくような授業を行う専門コースに分かれたクラスがあります。多くの人々が私立高校への進学を望むように、スマルティーニさんも授業料285,000インドネシアルピア/月(約2,100円)をなんとか工面し、娘さんを私立高校に通わせているそうです。以前暮らしていた古い家では、一人娘を家に残して仕事に出かけることが心配だったそうですが、今は前よりも長く働くことができると話します。収入は、生活費と学費の工面に全てが充てられていますが、スマルティーニさんはさらなる夢を抱き、今後は仕事量をもっと増やして娘さんを大学に進学させたいと教えてくれました。

最後にスマルティーニさんの家の建築に携わった学生ボランティアはどうしているかと尋ねられ、感謝の手紙を渡してほしいと託されました。このチームに限らず、日本から派遣される学生ボランティアの多くが、2週間という限られた時間で家を建てるだけでなく、ホームオーナー家族が新たな一歩を踏み出す支えとなるような絆を築いていると実感することができた再訪問となりました。

スマルティーニさんをはじめハビタットでは、GVを通じて安心・安全に暮らせる住まいの実現に取り組んでいます。ハビタットの活動をお支えください。活動へのご参加、ご支援はこちら