被災地の復興とは

震災で被害を受けた大切畑大橋は今だ開通していない

2016年414日に発生した熊本地震から3年が経過したこの4月、九州をはじめ、関東や関西で活動するキャンパスチャプターの学生19名を連れて、被災地の一つ熊本県西原村を再訪しました。西原村に到着すると、震災当時に万徳地区の区長を務められていた源 秀光さんと一緒に、被害の大きかった風当地区や大切畑地区などを巡り、震災以降歩んできた復興の道のりについてお話を伺いました。自分の目で見て回る中で『復興とは何なのか』を考える学生たちもいました。源さんはご自身の経験から、コミュニティ全体で日ごろからコミュニケーションを取ってきたからこそ、地震の大きさに比べて万徳地区は被害が最小限に抑えられたことや、普段からどんな防災アイテムを用意しておくべきか、実際にどんなものが役にたったかなど、災害への備えを学生たちに教えてくださいました。

福岡県にあるキャンパスチャプターの一つ、パスカルで代表を務める井上芽衣さんは、「被災された方の生の声を聞き、地震の恐ろしさを改めて知りました。今まで他人事に捉えていた自分がいたことにも気づくことができました。もっと被災地について知識を深め、これからもし災害が起こったら、今度は自分が何か行動を起こせるようになりたいと思います。また私だけではなく、家族と防災についても普段の生活から意識し向き合いたいと思います」と被災地を訪れたからこそ得た学びを話してくれました。

たんぽぽハウス代表上村さん(写真右)のお話を聞く学生たち

西原村では現在、さまざまな復興のための取り組みが行われています。その一つに、子供たちが自由に遊びまわれる子供の森の建設が進んでいます。西原村で活動するNPO法人にしはらたんぽぽハウスの代表を務める上村加代子さんは、震災後不登校になった子どもが西原村で増えてきていると話します。「震災後は余震も多く、心のケアが必要な子どもたちもいました。その後も、引きこもりや不登校になってしまった子どもたちの中には、震災を機に、心に不安を抱えてしまった子どもたちも少なくありません」と上村さんの話を伺い、震災がもたらした被害は目に見えるものだけではないことを知りました。

キャンパスチャプターはその後、たんぽぽハウスの子ども食堂を利用する子どもたちの遊び場になる森に、地元や県外からボランティアとして参加している大工さんたちと遊具作りを行いました。また別のチームは、西原村でも特に被害が大きかった地区の一つ古閑地区を訪ね、女性たちが古閑地区の復興イベントを考え、団らんできる集会の場を建てるボランティアにも参加しました。集会所の天井は、地元の竹を材料に作り上げています。学生たちは、竹の節を取るなど、大工の皆さんのサポートをし、集会所の建築をお手伝いしました。最初は不慣れな手つきでしたが、大工さんの丁寧な指導のもと、みるみる上達した学生たち。その様子をみた古閑地域の皆さんも、飲み物など差し入れしてくださり、わずかな時間でも西原村の復興を願い全員が心を通わせながら活動に専念することができました。

震災後3年たった西原村で、キャンパスチャプターの学生たちは「災害とは何か」「コミュニティ支援とは何か」「学生として自分にできることは何か」こうした問いかけに自問自答していました。住みよいコミュニティ、災害に強いコミュニティを築くには、未来を担う若者の参加は欠かせません。西原村を訪問したことで広がった知見を参加したメンバーは各キャンパスに持ち帰りメンバーに伝えるだけでなく、「また西原村に戻ってきたい!今度は自分のキャンパスチャプターの仲間を連れてきたいです」といった声も多く聞かれました。

本活動はジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社のご支援により実施されました。また活動にご協力くださった万徳地区・古閑地区・NPOたんぽぽハウスの皆さま等、ハビタット・ジャパンの学生の取組みに、ご支援・ご協力くださった皆様に感謝申し上げます。

※熊本県西原村の万徳地区はハビタットが震災後に公民館の再建を支援した地区になります。熊本地震関連のバックナンバーはこちらよりご覧ください。