熊本地震発災から2ヵ月。4月16日の本震で震度7を観測した西原村では、未だ多くの方が避難所での生活や、自宅周辺でのテント泊・車中泊の生活を続けています。ハビタットが運営をサポートする西原村災害ボランティアセンターでは、変化していくニーズに対応するため、組織体制を状況に応じて整えながら、さまざまな問題に取り組んでいます。
◆ 雨漏りによる脅威
熊本では6月上旬に梅雨入りし、雨漏りを防ぐための「ブルーシートかけ」の声が高まっています。地震で瓦が落ち、屋根から雨漏りする家が多く、放っておくと家の中の天井板や畳はカビが生えてきてしまう状態。長く続くと、床下や柱にまで影響が及び、構造的にも危険が高まってきます。ブルーシートをかけて応急処置をしていても、風雨ではがれたり、破れたりすることもあり、何度も張り替えが必要です。住民の方が屋根にのぼり、ブルーシートをかけ直しているところもありますが、屋根にのぼれない、例えば高齢者だけで暮らす世帯は、どこに頼んでよいかわからないとの声がボランティアセンターに多く寄せられています。ボランティアセンターでは、ブルーシートかけを無料で行ってくれる業者や団体と住民をつなぎ、対処が急がれる家の応急処置に取り組んでいます。
◆ 生活に欠かせない水
西原村で現在問題になっているのは「水」。今回の地震で動いた布田川断層の真上を配水管が横断していたため、西原村では水道配管に甚大な被害を受けました。現在は多くの世帯で水道が復旧したものの、飲むことができない雑水の供給に限られています。また、今もなお水道が復旧していない世帯もあります。水道から当たり前のように「飲用水」が出ないことで、普通にお米を炊けない、料理をまともに作れない状態が続いており、きちんとした食事を摂ることができない、またペットボトル飲料水を購入するしかないなど不便な状況が続いています。ボランティアセンターでは、そのような「水」の問題に取り組んでいくため、各集落における水道供給の現状把握を急いでいます。
◆ 住民の立ち上がり
震災から2ヵ月が経ち、西原村住民も続々と「自分たちが地域の復興を担っていこう」と立ち上がりはじめています。西原村出身の大学生が作成するフリーペーパー「できるだけ週刊DOGYAN」は、住民の「どぎゃんすればよかやろか...」というお悩みの声に答えるための週刊誌。相談会や無料食器市などのイベント情報を載せ、情報が届きにくい地域はもちろん、1軒1軒に足を運び、全戸配布を目指しています。ハビタットも本誌の掲載記事の一つとして、住宅再建に関わる支援制度の情報提供を行い、配布準備や配布作業に協力をしています。6月11日-12日の2日間、ハビタット・ジャパンの学生支部に所属する総勢22名の学生ボランティアが、各世帯を回り、配布をお手伝いしました。
◆「助けてもらうばっかりじゃなくて、私たちも何かやりたい!」
そんな西原村の方々の声から企画された「炊き出しマルシェ」が6月12日にボランティアセンターで開催されました。西原村の方々が腕を振るい、熊本名物だご汁や西原村特産のから芋の天ぷら、震災後に販売ができずにいたおなじみのパンなど、温かくておいしいごはんがたくさん並びました。西原村の子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで、またボランティアもたくさんの方が集合し、大盛況のイベントでした。ご飯を提供してくださった住民の方々の生き生きとした姿が印象的でした。
ハビタットは西原村災害ボランティアセンターでの運営サポートに加え、地震から2ヵ月が経った今必要とされる、住民の生活や住宅再建を後押ししてくための情報提供に取り組み、「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現に努めてまいります。
◆ご寄付のお願い:熊本地震被災者支援に取り組むハビタット・ジャパンの活動にご賛同いただける方からのご支援、心よりお待ちしています!ご寄付はこちら。
◆ バックナンバー
2016.06.01 : 【熊本地震 第7報】ボランティア活動報告 (2)
2016.05.25 : 【熊本地震 第6報】ボランティア活動報告 (1)
2016.05.23: 【熊本地震 第5報】現地からの報告(3)
2016.05.16 : 【熊本地震 第4報】ボランティア体験談(1)
2016.05.12 : 【熊本地震 第3報】ハビタット・ジャパンの支援計画
2016.04.26 : 【熊本地震 第2報】現地からの報告(2)
2016.04.25 : 【熊本地震 第1報】現地からの報告(1)
【熊本地震 第8報】現地からの報告(4)
2016/06/16