KumamotoVolSory1 (4).jpg◆竹村 寿美礼(タケムラ スミレ)さんの体験談
竹村 さんは立命館アジア太平洋大学(大分県)を拠点にハビタット・ジャパンの活動に取り組む学生支部"Habitat APU"に所属する学生です。実家を出て、大学のある大分県で暮らしています。2016年4月16日の熊本地震本震では、大分県でも竹村さんにとって、これまで体感したことのない激しい揺れを感じました。「その日の出来事、感じた恐怖は二度と忘れられない」そう話します。
----------------------------------------------------------------------------------
4月14日、地震発生直前に携帯電話の緊急地震速報が鳴るやいなや、大きな揺れを感じました。揺れがおさまると、真っ先にテレビをつけ情報を確認しました。そして、震源地が実家のある熊本であることが分かりました。急いで母に電話をしたところ、母からは『私は大丈夫だから、心配しないで。あなたこそ大丈夫なの?』そう心配してくれる母や家族が心配で、その日は眠ることができませんでした。
翌日、母は大分にいる私のところまで来てくれ、家族が無事であったことに安心して15日の夜に眠りにつきました。そしてその後まさか再び大地震が襲うことなど予期していませんでした。
4月16日の深夜、これまで感じたことがないような大地震を再び経験しました。海の近くに住んでいたので、とっさに東日本大震災の惨状が脳裏に浮かび、『お母さん、急いで山側に逃げよう』そう叫び、車でできる限り海から遠い場所まで逃れました。そして、熊本の実家に残してきた祖父母のことが心配で電話をしました。祖父はこれまで聞いたことのないような、心細い声で『助けてくれ。棚が倒れて、家の中におれん』そう困惑する祖父に『おじいちゃん、落ち着いて深呼吸して!何ももたんでいいから、今すぐ家から出て避難して!』そう伝えるのがやっとでした。
車で逃げながら、改めて自然災害への恐怖、そして人間の無力さを感じました。SNSを使い避難所の情報を得て、その日は母と二人、避難所で夜を明かしました。
震災からしばらくは、自分のふるさと、生まれ育った町で地震が起きたということ、また実家が被災したということに呆然となり、悲しい気持ちの方が大きくて、気持ちの整理ができるまでは、何も手を付けられずにいました。しかし、そのうちただ大分の家にいて、何もしないのも歯がゆく思えてきて、熊本出身の自分だからこそ、何かできることがあるのではないかと思うようになりました。ハビタット・ジャパンの学生支部に所属するメンバーとして、これまでボランティアを経験してきました。だからこそ、私に何かできることはないのか、そんな考えを巡らせていると、ハビタットが熊本地震緊急支援に動き出したという情報が入り、とても嬉しかったです。そして、真っ先にボランティアとして現地に入る手をあげました。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
KumamotoVolSory1 (2).jpg KumamotoVolSory1 (5).jpg KumamotoVolSory1 (3).jpg KumamotoVolSory1 (1).jpg
竹村さん含めたボランティアチームは、5月7日・8日の2日間、西原村で数件のお宅の片付け作業に取り組みました。瓦屋根の家が多い西原村では、地震の揺れで多くの屋根瓦が崩落しています。大量の瓦の片付けや家屋外の片付けなど、ボランティアの助けを必要とするお宅を訪問し、元の住まいを取り戻すために、また新しい生活を始めるために、住まいの片付けにあたりました。チームが初日訪問した場所は、かつては立派な家があったであろう場所で、地震で全壊したため、重機で解体している最中でした。家主さんがその様子を、じっと見つめていました。「解体されていく家をまっすぐ見つめる女性の顔を見るのは心苦しかったです。けれど、私が話しかけると、ニコッとして、ボランティアとしてお手伝いにきたことに『ありがとう』と感謝してくださいました。被災地に寄り添う、それが私たちにできること、そう感じました」と話す竹村さんは「これからも私がボランティアとして経験したこと、感じたことを伝えていきたい。それが私が熊本のために、熊本の人のためにできること」そう話します。
ハビタットは、「Youth for Kumamoto」プランを軸に、西原村災害ボランティアセンターの運営に加え、キャンパスチャプターを中心とした若者をボランティアとして動員し、現地で支援にあたると共に、生活、そして住宅再建に必要な情報を必要とする世帯に届けられるよう支援に取り組んでまいります。
◆ご寄付のお願い:熊本地震被災者支援に取り組むハビタット・ジャパンの活動にご賛同いただける方からのご支援、心よりお待ちしています!ご寄付はこちら
◆ バックナンバー
2016.05.12 : 【熊本地震 第3報】ハビタット・ジャパンの支援計画
2016.04.26 : 【熊本地震 第2報】現地からの報告(2)
2016.04.25 : 【熊本地震 第1報】現地からの報告(1)

◆熊本地震関連のボランティア体験談はハビタット・ジャパンのブログにも掲載中。ブログはこちらよりご覧ください。