IMG_0407.jpg被災した方が自分で自分の家を建てるのをお手伝いするセルフビルド支援を、大船渡市三陸町越喜来で行っています。昨年10月末の着工以来、毎週のようにボランティアの力を借り、地域の人々に支えられながら工事が進められてきましたが、いよいよ5月末に完成を迎えます。

更地の状態から始めた工事が進むにつれて、家が建つだけでなく、他にもいくつかの変化がありました。まずは、施主の佐藤さん(仮名)が外向的になったこと。当初は、ボランティアさんに紹介する際も、佐藤さんはうなだれて辛うじて頷くだけでしたが、今は、ボランティアさんに積極的に話しかけたり、冗談を交えながら会話しているのをよく目にするようになりました。「色んな人が全国から大勢来てくれるから、おらもだいぶ人見知りが治ったな」と本人も照れくさそうに話してくれます。

このように、本人が自覚している変化がある一方で、本人が言葉にしない変化もあります。それは佐藤さんに自信がついたように見受けられることです。本人は「そんなことはない、自信なんて欠片もない。」と言いますが、傍で見ているスタッフは、佐藤さんの目の輝き、話し方、歩く姿勢に確かな変化を感じています。以前は、開口日(*)に友人の船に乗せてもらって漁に出る以外、特に仕事らしいことはしていなかった佐藤さんですが、自分の力で家を再建している、生活を再建している、そのこと自体が大きな自信につながっているようです。

高台移転、公営住宅への移住、もしくは自力再建。この三つの選択肢のいずれを取るのも困難な方への第四の選択肢の提案として始めたセルフビルド支援ですが、一人の人が自分の住まいと向かい合い、再建のために闘うとき、住まいの他にも様々なものを同時に得ることができました。それらはある意味で、住まい以上に、佐藤さんの今後の人生にとって大きな意味を持つのではないでしょうか。そうであってほしいとハビタットは願っています。

*開口日:漁業権をもっている人が漁をしてもよいと漁協が定めた日。(例:アワビの開口、海藻の開口など)

◆支援状況/現地リポート
2014.04.17 【東北支援 第135報】宮城県美里町:「被災地」ではない風景のなかで
2014.04.07 【東北支援 第134報】神戸新聞にてハビタットの住宅支援事業を紹介
2014.03.18 【東北支援 第133報】宮城県美里町:河北新報にて住宅修繕事業を紹介
2014.03.12 【東北支援 第132報】関西学生支部、阪神高速協賛で東北写真展開催
2014.03.11 【東北支援 第131報】 震災から3年 「深める」x「広がる」支援へ
2014.02.26 【東北支援 第130報】宮城県美里町:住宅修繕事業を開始
2014.02.25 【東北支援 第129報】ダウ化工株式会社より断熱材を寄贈いただきました
2014.02.07 【東北支援 第128報】宮城県東松島市:ホームリペア支援
2014.01.10 【東北支援 第127報】岩手県大船渡市:「みなし仮設」への取り組み
2013.12.18 【東北支援 第126報】宮城県東松島市:ホームオーナーストーリー(8)
2013.12.12 【東北支援 第125報】岩手県大船渡市:小中井仮設住宅「西の蔵」のその後
2013.11.20 【東北支援 第124報】岩手県大船渡市:セルフ・ビルドへの支援を行っています
2013.11.18 【東北支援 第123報】宮城県女川町:「ゆめハウス」修繕支援開始
2013.11.13 【東北支援 第122報】岩手県大船渡市:末崎城跡にツリーハウスを建設中
2013.10.11 【東北支援 第121報】岩手県大船渡市:ソーラー発電設備設置完了
2013.10.10 【東北支援 第120報】宮城県東松島市:川下地区センターの修繕完了