6月6日(日)、JICA地球ひろばにおいて、「中田宏・前横浜市長 × ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパン: 草の根の国際協力と若者が紡ぐ日本の未来」と題し、地方分権改革を牽引する若き指導者であり、昨年8月の横浜市長退任以来、その動向に日本中の注目を集めている中田宏氏を迎えて、パネルディスカッションを開催しました!
ディスカッションでは、ハビタット・ジャパンの活動に参加する全国の学生1,500名(17団体)の代表7人と中田氏が登壇。ハビタット・ジャパンの海外住居建築活動(以下、GV)をはじめ、海外でのボランティア活動に参加する若者が、「草の根の国際協力を通じて何を学び、またそうした経験が若者そして日本の将来に与える意義」について意見を交わしました。他方、会場では、一般の社会人に加え、ハビタット・ジャパンの学生支部メンバー、そのOB/OGや家族、またマスコミ関係者など100名近くが来場、熱い議論を見守りました。
ディスカッションは、第一部と第二部の2部構成。第一部では、「草の根の国際協力を通じて何を学ぶことができるか」をテーマに議論。学生パネリストらは、まず「GVを一言で表すと?」という質問に対して、「きっかけ」、「サポート」、「喜び」、「同胞」、「コミュニケーション」など様々に挙げ、各自の"GV論"を紹介。GVへの参加が自分自身の意識をどのように変え、現地での建築作業やリーダー経験を通じ、何を得ることができるのか各自の考えを発表しました。「たった2週間程度のことだったのに、支援した家族と1年後に再会すると、涙があふれてきた」、「チーム一丸で汗を流して1つの希望を建てたからこそ得られる成長がある」と、GVの醍醐味を述べるものから、「ボランティアは、自己犠牲というイメージがあるが、本当は楽しいものであっていい」、「楽しいからこそ後に続き、継続や組織化ができる」というものまで様々な意見が交わされました。そんな中、中田氏は、「ハビタットの活動は、貧しい人々の自立を支援するプログラムだが、参加する人々もまた自立できるところが面白い」が、「日本国内にはまだ、日本人が持つ善意を集約し具現化できる仕組みがない」とし、ハビタットのような支援の形がその仕組みの一端を担っている意義について触れていました。
第二部のテーマは、「支援経験が若者そして日本の未来に与える意義とは」。 学生パネリストらは、第一部と同様、今度は「日本社会の問題点とは?」という質問に対して、「豊かさ」、「孤独」、「過剰」、「リーダーシップの欠如」などと回答。草の根の支援経験を持つ若者の視点から、日本社会が克服すべき課題について議論しました。中では、「日本社会は、急激な発展を経験してきた一方で、多くのものを失ったのではないか」、「自分の周りを見ても、みんながうわべだけの付き合いをしているように見える」などと指摘。その後、話題は、いま若者に大ブームの漫画 『One Piece』 にも波及、主人公たちが夢(秘宝)を追い求めて大航海に乗り出し、またどんな困難の中でも絶対に仲間を裏切らないことなどが世代を超えた人気を勝ち取っていること自体、皮肉にも、日本社会に夢や信頼関係がないことを証明しているのではないか」と、会場をうならせる場面もありました。その点、GVで現場を訪れると、「自分が普段どれだけ恵まれた環境にいるのか」、そして「私個人に何ができ、何ができないか」を理解し、「仲間やチームワークの大切さ」そして「自分自身にもっと向き合っていかなければならない」ことを学ぶことができると示唆していました。
最後に、中田氏が講演。「今の日本を見ると、たくましい日本人が少なくなった」と指摘した上で、日本の将来を担う若者の成長を促す点で、「GVのような活動が持つ意義は大きい」と語っていました。 そして、かつて、マザー・テレサが、『愛』の反対語として、(憎しみや嫌悪ではなく) 『無関心』 を挙げたことに触れながら、日本がよりよい未来を築いていくためには、「まずはGVのような活動について、もっと多くの人が関心を持つことが必要だ」と、ディスカッションを締めくくりました。
また、中田氏の退場後、会場では懇親会を開催。来場者は、フェアトレード・コーヒーを片手に、熱い議論を終えたばかりの学生パネリストたちを囲んだトークセッションや関東の学生支部による活動紹介に耳を傾け、互いの懇親を深めていました。
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2010/06/13