日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区)は、ハビタット・フォー・ヒューマニティのインド(チェンナイ市中心部から南西に約20km、Mangadu in the state of Tamil Nadu)における75軒の住居建築プロジェクトへの支援(75,000米ドル相当)を決定。2010年4月24日、インド日産CEO徳山公信氏(写真右)、現地政府関係者(Government of Tami Nadu)、現地住民を迎えて、起工式を行いました。本プロジェクトは、州政府、現地NGOWoman Education and Economic Development Society (WEEDS)との協力の下、社会的、経済的また教育的に不利な立場にある75家族、375名(その多くは日雇い労働者)の生活の向上を目的に支援を行うもので、予定では来年3月の完了(一軒あたりの住居面積 =約23平方メートル)を目指します。  
 
インドの住環境と住宅政策
インドには約1億8,000万軒の住居が存在し、その60%以上が粗悪な土、葦などの草木、竹といった建材を使用した住居で、多くの人々はまだまだ十分な住環境を持てない状況にあります。都市部では、水路、ガレージ、電車・バスのプラットホームや路肩といった場所にあるスラムに、一つ屋根の下、大人数がすし詰め状態での生活を余儀なくされています。最貧困層に至っては、野宿する家族も数多く存在しています。2001年の統計調査によると、約195万人のホームレスが確認され、地方では1,410万軒、都市部では1,060万軒の住居が不足。毎年250万軒の不足が新たに発生している計算になるといわれています。
 
このように、貧困住居問題はインド社会の大きな課題になっており、解決に向けたインド政府による支援計画が各地で進められています。その中には、カースト制度や塩田労働者のような季節労働によって社会的不利な立場にある住民グループを対象とした住宅政策も存在します。しかし、人口増加や資金不足による計画実施の遅れにより、年々、そのニーズは増加傾向にあります。
 
求められる事業協力・連携
ハビタットはインドにおける活動を始めて以来、これまで26年間に33,000軒以上の住居支援を行ってきましたが、今日、これらの支援活動をより効果的に実施するため、他NGO・行政・企業との協力・連携が不可欠な要素と捉えられています。この現状において、今回の日産自動車とのプロジェクト協力は、非常に大きな意味を持つと共に、現地での大きな期待となっています。
 
インド日産CEO徳山氏は次の通りメッセージを寄せています。「世界中で行う企業活動を通じて、各地域の社会発展に貢献することは私たちのもう一つの使命だと考えています。そのためにも、社会の持続的発展を念頭に企業活動の追求を目指しており、今回の支援を通じて、75家族の健全な生活の確保、そして社会に変化をもたらすことが出来ることを大変光栄に思います。」
プロジェクトは、6月末現在、9軒目の建築作業が取り進められています。