ハビタット・ジャパンが2016年2月からサポートする女性のためのシェルター「女性の家HELP」は、恋人や配偶者からの暴力(DV: ドメスティックバイオレンス)やモラハラをはじめ、性ビジネスへの強要から逃れてくる人、住まいを失い今夜寝る場所をなくした人などが一時的に保護される民間運営のシェルター施設です。こうした事情を抱える多くの方が、慣れ親しんだ環境や人間関係から離れ、たくさんの物を手放しシェルターにたどり着くそうです。そのため、施設は入所された方が自立に向けた一歩を踏み出せるよう十分な安らぎを与えられる場所、そして新しい生活に向けた「希望」と「意欲」を育み、自立に向けた準備が整えられる場所を目指し運営され、入所する女性やその子どもたちにとって、そこは一時でも安心・安全に暮らすことができる「住まい」となっています。

施設の運営は高いセキュリティで守られ、限られた数の職員の方々が掃除や洗濯、炊事をはじめ、日常の買い物や病院への同行、今後の生活に必要な情報の収集や提供、そして新たな電話相談に行事の企画など、日々多くの業務をこなしています。そこで、全国42もの学生支部(キャンパスチャプター)を抱えるハビタット・ジャパンの強みを生かして、施設内の居住環境の改善・維持を目指したお掃除ボランティアを2016年2月に開始しました。以来、月に一度はキャンパスチャプターからボランティアを集い、今も施設を訪問し、必要な箇所のお掃除をはじめ、行事のお手伝いなどに取り組んでいます。昨年末「女性の家HELP」が発行した広報誌では、HELPをサポートする団体としてハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパンが紹介されました。記事内に掲載されたキャンパスチャプター学生の感想文はこちらご覧ください。

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私は、 ハビタット ・フォ ー ・ヒュー マニティ ・ ジャパンという国際 NGO 団体の学生支部に所属しています。 普段私たちは夏休みと春休みの長期休みを利用して主に東南アジアの貧困地域に赴き、住居建築活動を行なっています。 海外での活動だけでなく、国内でも住居支援活動を行なっており、 その活動の一珠として、 女性の家 HELP で施設の清掃などを中心にお手伝いさせていただきました。
施設へ到着して最初に驚いたのは、 セキュリティの高さでした。 この施設で暮らす方々は皆何か事情を抱えて避難されている。 そんな女性のための施設だからこそのセキュリティなのだと知り、 なんとなくふわふわした気持ちが締まったのを覚えています。 施設の奥の小さな部屋で、 施設の説明や、 活動の内容などを説明していただき、 床の掃除とワックスがけを中心に行いました。 洗濯物干し場を掃除している時、 施設で暮らす外国籍の親子さんに出会いました。 私たちは 「おはようございます」と優しく声をかけましたが、 少し怯えたようにしながら会釈をし、 洗濯物を千し、 去っていきました。 想像はしていたけれど、 思っていた以上に複雑な気持ちになってしまいました。 しかし、 その後に出会った男の子のおかげで、自分の中で変化がありました。 その子はまだまだ小さく遊び盛りで、私たちが遊んでくれると分かると、とても嬉しそうに無邪気に笑っていました。 私たちも思わず笑ってしまうくらいキラキラした笑顔でした。 ここで暮らす方々は心に深く傷を負ってしまっているため、 なかなか心から笑うことが難しいのだと思います。 しかし子どもたちの笑顔には自然と笑みがこぼれるのではないか、 安らぐ瞬間があるのではないかと思いました。
私たちに出来ることというのは限られています。 直接女性の方々を救うことは出来ないもしれませんが、 私たちが施設を訪れ、 交流することで、 少しでも笑ってもらえる瞬間があればと強く思いました。 だから私は今後もお手伝いさせて頂ける機会があれば参加し、 HELP の職員さんと 来られる方々の力になりたいなと思います。

寄稿者:ボランティア吉川さくら【神田外語大学】

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◆「女性の家HELP」に関連する過去の記事はこちら
2017/04/04 女性のためのシェルターでボランティア