ハビタットでは初の試みとなる、日本とシンガポール2か国の学生支部(キャンパスチャプター)の学生による、文化交流研修が、8月3日からシンガポールにて開催されました。日本では、20年以上前から活動を開始し、現在全国40の大学で活動しているキャンパスチャプターですが、アジア太平洋地域ではまだまだ歴史が浅く、シンガポール、韓国、香港など、限られた国と地域でのみの活動となっています。しかしながら、ハビタットでは、2012年にHabitat Young Leaders Buildというアジア太平洋ユースキャンペーンの開始以来、若いリーダーの育成に取り組んでいます。このたび、両国のキャンパスチャプターがそれぞれの活動の中から互いに学びあい、さらに両チャプターの活動発展につなげるため、合同研修をシンガポールで実施することとなりました。この初の試みに、東京、大阪、名古屋、福岡などから、20名の学生が参加しました。

シンガポールでは、現在計8つのキャンパスチャプターが大学と高校で活動しています。日本と同様に、 ①ボランティア活動 ②アドボカシー・啓発活動 ③募金活動 ④学び をその活動の主軸としています。中でも、シンガポールではハビタット・シンガポールが実施する国内居住支援プロジェクトホームワークス(PHW: Project HomeWorks)へのキャンパスチャプターの貢献は顕著で、自分のキャンパスがある地域を担当し、週末ごとに学生主体でボランティア活動を行っているほか、活動に必要な資金も自分たちの募金活動を通じ、地域の皆さまにご理解ご協力を得ながら実施に向けて取り組んでいます。

研修の1日目には、日本とシンガポールのキャンパスチャプターでは、どんな活動を行っているか。特にそれぞれが国内で行っている活動はどういったことかを発表し、また学生たちがチームになって、より細かい活動内容に質問しあい、話し合う学びの一日でした。2日目には、文化交流として日本の学生は浴衣の着付けやうちわづくりを、またシンガポールの学生はKampongという、シンガポールに昔から伝わる伝統的なゲームを紹介し合うことで、両国の文化を学んだだけではなく、それぞれの国の学生はどんな一日を過ごしているのかと、楽しく紹介し合いました。またGive Asiaというクラウドファンディングサイトの創設者である、Aseem Thakurさんをお招きし、ファンドレイジングについて学びました。3日目には、シンガポール南部セントーサ島の西端にある、シロソ砦を訪問。1945年まで日本軍の捕虜強制収容所であった場所に、奇しくも8月6日に訪問することになり、両国間の歴史的背景を学ぶことで、今回の文化交流の意義を改めて感じる一日となりました。4日目には、国内居住支援プロジェクトホームワークに参加。高齢で足が不自由な女性宅で、清掃や壁の塗装などの活動に参加し、居住支援の必要性や表立って見えないところにある住まいの問題などを肌に感じながらの一日となりました。

  • お互いの国の活動について熱い議論

  • 浴衣の着付けを通じた日本文化の紹介

  • シロソ砦で歴史を学ぶ学生たち

  • 団地の一室で、プロジェクトホームワークスに参加

ハビタットの活動に初めて参加したという、福岡大学3年生の荒井諒さんは、「私たちのキャンパスチャプターはまだ設立から3年目の新しいチャプターで、まだまだ他のチャプターから教わることがとても多く、今回のシンガポール研修から多くのことを学ぶことができました。特に、4日目のプロジェクトホームワークでは、国に関係なくボランティア活動を行うことの大切さを学びました。そこでは、シンガポールのハビタットの方と共に、身体が不自由な年配の女性の方の家を訪ね、清掃、不要品の回収、壁の塗装、フローリング磨きや寝具の組み立てをしました。最初は複雑な表情でしたが、最後には笑顔で見送って頂きました。また、シンガポールの学生はとても積極的で、国内のボランティア活動ではあまり普及していないファンドレイジングや、ボランティア活動のシステムを教えて頂き、日本での活動に取り入れるべきことや改善点を知りました。そのようなハビタット・シンガポールの学生メンバーの姿を見て、自分も頑張って取り組んでいこうと、大変刺激を受けました。個人的には現在医学を勉強しており、ハビタットの支援の現場を知ることで、自分も将来国に分け隔てなく、人道的に医療に貢献できる医師になりたいと思いました。シンガポールの研修に参加することができ、キャンパスチャプターの一員としてだけではなく、自分自身としても大きく成長できたと思っています」と語りました。

  • 荒井諒さん(写真左から4人目)

  • 壁の塗装を行う荒井さん

ハビタットは、今後も学生たちの世界に向ける取り組みを支援してまいります。