millard.jpg100カ国以上で活動するハビタット・フォー・ヒューマニティの創設者であるミラード・フラー氏が2月3日に病気のため死去されました。享年74歳でした。
20代にして億万長者となったフラー夫妻は貧困住居問題への解決の第一歩を踏み出すために、自らの財産を売ることを決意。ふたりの取り組みは、ジョージア州アメリカスの近くにあるコミュニティ内の人種差別問題を解決することから始め、住居を低所得者が手ごろな値段で購入できるよう、非営利で無利息を原則とした住居を建築しました。
この時に生み出された『スウェット・エクイティ(ホームオーナーになる家族がほかの家族の住居建築にボランティアとして労働参加する時間)』や、『回転資金(住居ローン返済金が次の住居建築の資金に活用されるための資金)』というアイディアが、ハビタットの基本原則となりました。
フラー夫妻は、1976年にハビタット・フォー・ヒューマニティをアメリカ合衆国・ジョージア州にて設立。その後、29年間代表を務め、現在ではハビタット・フォー・ヒューマニティは世界100カ国で30万軒以上の家の建築・修繕を行う大きなNGOへと成長しました。
フラー氏は1996年9月にクリントン大統領(当時)から「自由のメダル」を授与され、また『Professional Builder magazine(プロの建築者誌)』から「95年の建築の人」に選ばれました。94年にトルーマン元大統領にちなんだ「公共サービス賞」を夫妻で受賞し、そして公民権運動を担ったマーチン・ルーサー・キング牧師にちなんだ「ヒューマニタリアン賞」を受賞しています。
ほかにも多くの名誉博士号や功績を称える賞を受けていますが、それは彼の突出したリーダーシップと貧困住居問題の世界的な削減に向けた活動への貢献によります。最近では2003年12月に『Non-profit Times of the US(アメリカ非営利タイムズ)』の「今年の経営者」に選ばれました。
1996年にはシェルター("ハビタット?")に関する国連会議でスピーチを行いました。2004年1月には、スイスのダヴォスで開かれた世界経済フォーラムに参加し、「2004年のアジェンダ:ヒューマン・セキュリティー」と題してパネル講演を行いました。他にもハビタットの活動に関する多くの本を執筆しています。
大変素晴らしい創設者であったミラード・フラー氏を失ったことは、大変悲しく大きな痛手ではありますが、ハビタット・フォー・ヒューマニティはフラー氏の情熱や想いを引き継ぎ「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現に向けて活動していきます。
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