ふと見ると、ふくろうが竹竿のてっぺんにとまって、まん丸の目でこちらをうかがっている。
どこからか不思議な音が聞こえてくる。鳥か、動物か、なにかの鳴き声か。耳をすますと。手押しの井戸で水をくみあげている音だ。キーコ、キーコというかすかな音。なんとも懐かしい感じがする。
6時半にならないと明るくならないため、まだ夜の続きだ。すぐそこに見える作業場は、ハロゲン・ランプで照らされ、竹がヤマのように積まれている。あわせて5000本もの竹が納入され、この3週間というもの、切ったり削ったりを繰り返した。
長短に分けて区画された竹に占領されて、広かった作業場もいまや手狭になってしまった。そこで、はじめに作った竹の柵の一部をこわして、隣の田んぼに竹を置き始め、そこでも作業をするようになった。
竹ばかりになり、まるで竹問屋になった気分だ。
遠くから犬のほえる声。5時半になるとコーランが流れる。嘆いているようにも、つぶやいているようにも聞こえる。歌のようにも、詩のようにも聞こえる。アッラー、アッサラ―ム。
部屋の隅では蚊取線香がさいごの煙をたてている。
わたしはベンガル・ティーを飲みながらペンを走らせている。
(1月13日)