ハビタット・ジャパンでは今年度より、国内事業の一環として、支援が必要な独居高齢者など社会的な弱者に対する住宅小修繕および清掃支援などのボランティア活動事業(仮称・すまいるオペレーション)を開始することになりました。まずはそのパイロットプロジェクトとして、事務局が立地する東京都中野区において引き続き試験的に実施しています。その第二回目の活動を12月15日に2名のボランティア参加者を得て実施しました。
今回活動を行ったのは中野区東中野2丁目のSさん宅。Sさんは昭和三年生まれの79歳で、一人で暮らしています。3年ほど前から体調を崩し、今では心臓の負担になるような家事・掃除をすることが難しい状態です。今回は、1階においてある大きな家具を2階に運ぶ作業を希望されました。
重労働を必要とする今回の作業にボランティアとして参加されたのは、関東キャンパスチャプター(CC)明治学院大学の入戸野 翔君、そしてハビタットの活動は初めてという、社会人の河原 優さん。引越しやイベント会場での設営バイト経験もある河原さんと、大学でもこのような活動を学んだことのある入戸野君。手際よく荷物を運び出してくれました。作業中は、Sさんの楽しいお話を聞かせていただき、大変なごやかな作業となりました。
間取りや家具の大きさの問題もあり、家具は半分だけ2階へ移動。予定通りの作業とは行きませんでしたが、今後も定期的にSさん宅を訪れ、引き続き支援をしていきます。
なお、第一回目のKさん宅、今回のSさん宅の選定にあたっては、中野区からの委託を受けて地域の高齢者福祉活動をおこなっている東中野地域包括支援センターの介護支援専門員の方のご協力をいただきました。今後も地域包括支援センターとの連携でボランティア活動の輪を広げていく計画ですので、皆様の積極的な参加をお願いいたします。
ボランティア参加者の声
河原優
 私は今年の秋まで英国に留学しており、欧米諸国の若者が積極的にボランティアに参加している様子を見るうちに、自分にも何かできないだろうかと考えるようになり、今回の参加となりました。
 社会人ということもあり、ついつい休日は起きるのが遅くなってしまい、時間を有効利用できていなかったのですが、早起きをして、普段あまり交流を持つことがない学生ボランティアや高齢者の方と知り合えることは大変有意義であり、また活動を通じて感謝されることは気持ちの良いものです。
 今回はタンスの運び出しでしたが、これがやってみるとなかなか難しい。学生時代から引越しやイベント会場設営のアルバイト経験はあったのですが、家のつくりから生活スタイルまで同じものはひとつもなく、そこに住むひとにとっての最善の生活環境作りのお手伝いをするためには、そこに住む方を最大限尊重して作業をしていくことが重要です。
 具体的には、その家で住むひとの食事、洗濯、掃除といったあらゆる行為は家具のレイアウトで制約されることになり、特に高齢者の方が日々を快適に過ごすことができるか否かは今回の作業のようなタンスひとつの配置に大きく左右されます。ボランティア側の視点から小さなことのように見えることでも、そこで毎日を過ごす高齢者にとっては大きなことだということを忘れてはいけません。
 また、作業の中で触れるあらゆる品々には住む人にとって大切な思い出が詰まっていて、高齢者ともなると思い入れはとても強いものがあります。今回お手伝いをさせていただいたSさんも思い出の品々に関連した楽しいお話をたくさんしてくださいました。
 ハビタットのスタッフからお伺いしたところ、ボランティア参加者は学生と比べて社会人の参加者がまだ少ないそうなので、この文章を読んで少しでも関心を持たれた社会人の方はぜひ参加してみてください。とても良い運動になるので、エクササイズの一環として取り組んでみてはいかがでしょうか?? 私は今回の参加で1キロのダイエットに成功しました!
 引き続きこの活動へ参加させていただきたいと思っていますので、読者の方で今度ご一緒したときはよろしくお願いします。
入戸野翔(明治学院大学)
 今日参加してみて、何よりおばあちゃんが楽しそうに話しているのがとても印象的でした。僕らは今回、大したお手伝いもできませんでしたが、これからの継続とコミュニケーションの場を作っていくことが大切だと思います。広報に関しては草の根的な活動ですが、確かな可能性を感じました。機会があればまた是非参加したいと思います。また、個人的な話しですが、自分の祖母が懐かしくなりました。一人暮らしを始めてからお米や野菜を送ってくれたり、何かとお世話になっているのですが、久しくお礼もしていないので、年末年始に感謝の意を込めて挨拶に行きたいと思います。
 今日はありがとうございました。
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