ハビタット・ジャパンで海外建築ボランティア「グローバル・ビレッジ・プログラム(GVプログラム: Global Village Program)」を統括している岡部です。ただ今、タイの首都バンコクから北に40キロほどの場所に位置するパットゥンタニ県に来ています。今回タイを訪れたのは、立命館守山高校の生徒さんと一緒にハビタット・タイが取り組む住居建築支援活動に参加するためです。2012年から毎年、立命館守山高校は海外研修プログラムの一つとして、タイでの建築活動に参加しています。今年は19名の生徒さんが日々奮闘しています。チームリーダーをはじめ、何名かの生徒さんにインタビューをしたのでご紹介します。

リーダーの芽依ちゃんは自分が成長できると思い、このタイGVに参加を決めたと教えてくれました。タイに到着するまでは、ただ家を建てることしか考えていなかったそうですが、現場でホームオーナーさんの思いや現地ハビタットのサポートなどに触れ、ただ建てるだけではなくこのGVに関わる全員の“安心して暮らせる家”への願いが詰まっていることに気付かされたそうです。CAで町の中心部を訪れた際には、高層ビルが立ち並ぶ都市部にはゴミが散乱していたり、スラムが点在していたりとショックを受けたそうです。ホームオーナーさんが住む家も決して快適に過ごせる家ではないと感じたそうです。このGVでリーダーとして19名を纏めるのは大変で、常に予定通りとはいきませんが、ステップ毎にきちんと仕事を完了させたときに達成感を感じられることがGVの楽しいところだと話してくれました。

岳くんは班長として、リーダーを支えています。今回タイを選んだ主な理由は、英語を使う必要がないからだったと正直に話してくれました。初めは家を建てるというイメージが全くつかめなかったそうですが、タイ人スタッフや現地の左官さんたちが、その日の作業を説明してから作業を始めるようになってからは、自分の中でもイメージがつかめるようになって、毎日のGV活動がとても楽しいと笑顔で話してくれました。ホームオーナーさんが安心して暮らせる家を絶対に完成させる!と熱い思いで取り組んでくれています。そして嬉しいことに、この経験から外国人とコミュニケーションをとるには英語が必要と感じるようになったそうで、これからは苦手な英語をもっと勉強したいと話してくれました。もう一度GVに参加したいと話してくれて、ハビタットスタッフとしてはとても嬉しい限りです。

絢音ちゃんはボランティアや看護に興味があり、このハビタットのGV活動研修を希望したそうです。学校では技術のクラスなど、ものをつくることが好きなので、大きな家を造るのは想像がつかなかったけれど、とても楽しみにしていたそうです。ホームオーナーさんが実際に住んでいる家を見せてもらい、日本と比べると全然違う家で生活をされていることに目を背けたくなったそうです。1人だけでは小さなものづくりしか出来ませんが、19人集まれば一軒の家を建てることが出来ることに気付かされたそうです。そして絢音ちゃんはシャイだそうですが、自分を変える!という自身に対しての目標を立てて“やらずに後悔するよりはまずやってみる”の精神で日々GV活動に取り組んでいます。

佐々木くんもタイGVへの参加が第一希望だったそうです。参加費の都合もあったそうですが、今まで自ら進んで何かをすることがなかったそうで、ハビタットのGV活動を通じて体を動かし汗をかきながらボランティアが出来ることにも魅力を感じたそうです。出発前夜は緊張してあまり眠れなかったそうです。到着時は冬の日本と比べると暑いけれど、あまり日本と変わらないなと思ったとのことでした。しかし、ホームレスチルドレンを見たときには絶句したし、実際にホームオーナーさんの家を拝見したときも”本当にここに住んでいるのかな“と、とても人が実際に生活出来るような環境ではないと感じたそうです。GV活動を通りして、自らがやるべきことを見つけながら仕事をしていることに充実感を感じ、無我夢中でやっているから、全然つらくないですと、真面目な顔で話してくれました。最終日にはホームオーナーさんが末永く、笑顔で暮らせる家を完成できるように、汗をたくさんかきながら活動してします。

初めは暑さや蠅の多さに戸惑い、やる気が出なかったときもありましたが、残り数日となり家の完成が見えてくると、みんな“必ず終わらせる!”と声を掛け合いながら一所懸命活動しています。ハビタットタイスタッフが言葉は通じなくても冗談を言いながら現場を楽しい雰囲気にしてくれるので、今ではみんなスタッフが大好きです。
夜のミーティングでも、その日を振り返り、GVに必要なものは何か、周りを気遣う、コミュニケーションを大切にするなど、意見交換しながら日々前進している様子が伺えます。誰のための家なのかと自問自答しながら、毎日ワークサイトに向かう生徒さんもいるようです。そして、最終目標は“ホームオーナーさんが笑顔になる、ホッとできる家をつくる”です。残り数日、私も一緒に汗をかきながら立守チームをサポートしていきたいと思います。