2024年の夏、同志社大学を拠点に活動する学生団体「同志社ハビタット」が、海外建築ボランティア「グローバル・ビレッジ(GV)」を通じて、総勢15名でベトナム中部ダナンに渡り、現地で支援を待つカンさん家族と共に、約5日間、「家」の建築活動にあたりました。そのメンバーの一人、海野さんが、この夏、大学のゼミの一環で再びダナンを訪れました。そして、ハビタットベトナムによる協力のもと、カンさん家族を再訪することが叶いました。カンさん家族の今の暮らしぶりを見聞きする中で改めて知ることができた住居支援の意義、そしてボランティアがGVに参加する価値を寄稿してくれました。是非ご覧ください。


 

はじめまして。同志社大学の海野孝太です。私は昨年の夏、3度目のGVとして、ベトナムでの住居建築活動に参加しました。そこで出会ったのが、カンさんご家族です。

カンさんは、ベトナム中部の都市・ダナン郊外で、奥さまと4人のお子さんと暮らしています。家の周囲には畑や田園が広がり、牛が放し飼いされるなど、のどかな風景が続きます。しかし、その暮らしには大きな不安がありました。カンさんの家は構造が脆く、雨が降るたびに雨漏りの心配が尽きなかったのです。そこで私たちは、約5日間にわたり、カンさんご夫妻と力を合わせて建築活動に取り組みました。一日も早く、ご家族が安心して暮らせる家を完成させるためです。作業は、基礎となる穴掘りから始まり、整地、モルタルづくり、レンガ運び、そして壁を積み上げる工程へと進みました。雨季のため、時折スコールに見舞われ、気温と湿度の高さが体力を奪う過酷な環境でした。それでも、こまめに休憩を取りながら、チーム一丸となって作業を続けた日々は、今も鮮明に思い出されます。

そして今年、念願の再訪が叶いました。期待と不安が入り混じる中、完成した家とご家族の笑顔を目にした瞬間、不安は一気に消え去りました。最も強く感じた変化は、家族の落ち着いた暮らしぶりです。新しい家は、室内が子ども部屋とご夫妻の部屋に分かれ、プライバシーが守られる環境に整っていました。以前の住まいは窮屈で不便な暮らしだったと聞いていましたが、今では布団を敷いても余裕のある広さがあり、家族の生活にゆとりが生まれています。一人ひとりの笑顔が増え、幸せを感じながら暮らしている様子が伝わってきました。

もちろん、広さだけではありません。以前の家で悩まされていた雨漏りの心配もなくなり、雨の日でも安心して過ごせるようになりました。広くなった室内を子どもたちが走り回る姿は、とても印象的でした。安心できる空間、そしてゆとりある空間は、一家の心にも余裕をもたらしているようでした。
GVの際、カンさんご夫妻は「子どもには勉強をさせたい」「やりたいことを自由にさせたい」と語っていました。その願いは現実となり、子どもたちが勉強に励む姿を、嬉しそうに見守るご夫妻の姿が心に残っています

さらに驚いたのは、子どもたちがボランティアとの時間を今でも特別な思い出として大切にしてくれていることです。GVの際に用意した自己紹介カードや写真を、今も丁寧に保管してくれているだけでなく、メンバーの名前を呼び、「会いたい」とまで思いを伝えてくれました。言語や文化は違えども、海を越えて支援に訪れた私たちとの出会い、そして過ごした時間は、子ども達の心に刻まれ、「将来は誰かのために役立ちたい」という思いが芽生えるきっかけになっているそうです。

カンさんご夫妻は今、新たにキッチンスペース作りや庭の整備を夢見ているそうです。一年前は、家族が安心して暮らせる「家」を持つことが夢でしたが、その夢がかなったことで、家族は今、家を基盤に、新たな夢を抱き始めています。カンさん一家を再訪したことで、家は「ゴール」ではなく、家族の未来、新しい夢を描く「出発点」であることを再確認することが出来ました。

私たちが参加するGVは、わずか5日間の建築活動ですが、それは単に家を建てる活動ではありません。家族の夢を生み出す基盤を築くこと。GVが家族の暮らしに大きな変化をもたらす一歩となっている事実を、今回の再訪で強く実感しました。カンさん一家をはじめ、私たちの再訪を快く受け、協力くださったハビタット関係者の皆さんにも心から感謝しています。再訪を通じて見た家族の笑顔や変化は、住居建築支援、そしてGVの価値そのものでした。今後も自団体での共有や社会への発信を続けることで、「家を建てる」という枠を超え、新たな夢を描く「出発点となる活動」として、支援の輪を広げていきたいと考えています。

 


GV、それはまさにハビタットのミッションである「家を建て、コミュニティ、希望を築く」活動を支えるボランティア活動です。ぜひあなたも、GVに参加し、家族と共に、家族が安心して暮らせる住まい、そして新しい夢を描く希望を築きませんか。海野さん、再訪にあたり素敵な寄稿文をお寄せくださりありがとうございました。GVに関するお問い合わせはこちらよりお願いいたします。