ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス(PHW)」は、ご高齢の方、障がいをお持ちの方など、ご自身では居室を片付けることが困難な方の居室内の環境改善を目指す支援です。4月は多くの方が新年度を迎える忙しい時期ですが、社会人や学生など、合計12名の方々がボランティアとしてPHWの活動に協力くださいました。 

 4月に居室の片付けを支援したお一人が、80代の岡田さん(仮名)です。岡田さんは、先月まで数十年にわたり八百屋を営んでいらっしゃいました。朝4時に起きては仕入れに向かい、夜10時を過ぎてから帰宅するという、休みのない生活を長年続けてきたそうです。しかし、仕事中に棚から転落してしまい、足を骨折してしまいました。生活のために続けてきた仕事ですが、体力的な限界も迎え、遂にお店をたたむ決断をされたそうです。今は生活保護の申請を進めながら、地域の相談員の助けを借りて、公的な福祉サービスの利用を模索されています。  

そこで、まずは住まいを整える必要があることから、相談員を通じてハビタットに居室の片付け相談が寄せられました。事前下見のためご自宅を訪問すると、部屋の中にはテレビも布団もなく、電気は切れた状態でした。さらに、何年も前のカレンダーがそのままになっていたり、処分するモノをまとめた袋が部屋に積みあがっていたりと、これまで忙しさから家の中のことも、ご自身のことも、構う余裕がなかった生活が垣間見られました。  

岡田さんのお宅の片付けには、明治大学の学生2名がボランティアとして駆けつけてくれました。ご自宅に到着すると、下見の際に積まれていたゴミや、床に散らばっていたチラシがなくなっていました。岡田さんに聞いてみると、「ボランティアさんが来る前に、少しでもできることをしようと思って、ゴミは出しておいた」と話され、骨折した脚は万全ではない状態でしたが、階段を何往復もしてゴミ出しをされたことを教えてくださいました。  

早速、学生ボランティアとキッチンの清掃に取り掛かりました。長年の埃や汚れをスポンジとたわしで擦っていくと、みるみるうちに汚れが落ちていきます。換気扇についた埃も丁寧に上から落としていき、最後に床を拭くと、キッチン周りは見違えるほど片付けが進みました。そのほか、電気の傘に積もった埃を拭きとって活動は終了となりました。きれいになったキッチンを見た岡田さんは、「自分をたすけてくれる人がいるなんて思っていなかった。来てくれて本当にありがとう」とボランティアさんに感謝の言葉を伝えていました。  

今回、PHWボランティアに初めて参加した明治大学の中野さんと中澤さんは、「自分たちにとっては、ほんの少しがんばっただけでしたが、ご本人がとても喜んでくれて、誰かの力になれたと感じる活動でした」「ホームパートナーさんが喜んでいる姿を見て、大きな達成感を感じました」と感想を寄せてくださいました。 

ビタットは今後も、福祉団体と連携し、ボランティアさんと手を取りあいながら、清掃・片付け支援を充実してまいります。