ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス(PHW)」は、ご高齢の方、障がいをお持ちの方など、ご自身では居室を片付けることが困難な方のお宅にて、居室の環境改善を目指す支援です。12月は、ボランティアの方々のご協力のもと、7世帯のお宅で活動を実施することができました。

12月に活動を実施した世帯の一つ、北村さん(仮名)の相談は、今年7月に地域の福祉団体を通じて寄せられました。8月に支援を開始してから、12月の活動まで、計4回の清掃・片付けを実施しています。北村さんは50代という若さですが、難病を発症し、病気の進行とともに歩行が徐々に困難になってきています。今後、車いすでの生活となる見通しですが、現在暮らしている家は狭く、段差があるなど、このまま暮らし続けることは難しいため、引っ越しを検討されています。それに向けてモノを減らしたいというご希望があり、ハビタットに相談が寄せられました。

早速スタッフがお宅にお伺いすると、洗面所からベッドまでの通路がかろうじて空いており、その通路の両脇に積みあがる段ボールを伝いながら歩行している状態でした。初回の活動では、担当の保健師が用意くださった歩行をサポートするポールを設置するために、スペースを確保するところから片付けを始めました。ご本人の動線をしっかりと確保できることが大前提でしたので、段ボールを置く位置など、細かく確認頂きながら、慎重に作業を進めました。

この日を皮切りに、計4回の清掃・片付け支援を実施しました。初めは北村さんご自身も緊張されている様子で、口数も少なかったのですが、回を重ねるごとにだんだんとご自身の話をしてくださったり、ボランティアさんとのコミュニケーションを楽しまれる様子がうかがえるようになりました。ボランティアの方とご自身の趣味である映画や音楽の話になると、好きな映画の話で盛り上がったり、好きなアーティストの曲やライブの魅力を話されていました。最後の活動の際には、「ハビタットのボランティアの皆さんに来てもらえて、本当によかった」とおっしゃり、ボランティアの皆さんに「ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えてくださいました。

この日初めてPHWボランティアに参加され、約10年にわたりハビタット・ジャパンへのご支援を継続してくださっている浦野さんは、「今回、私たちの寄付がどのような活動に使われているかを知ることができました。活動中に、ホームパートナーさんとの交流を通じて、その方の一面を知ることができ、とてもありがたい機会でした」と感想を寄せてくださいました。

12月19日、北村さんは都内近郊のご実家に引っ越しされ、新たな生活をスタートさせました。ハビタットは今後も、福祉団体と連携し、ボランティアさんと手を取り合いながら、清掃・片付け支援を充実してまいります。