ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」では、高齢や障がいなど何らかの理由で、ご自身で部屋を整えることが困難となった方のお宅にボランティアさんと訪問し、清掃・片付け支援を行っています。9月、残暑厳しい中でしたが、合計8回の清掃・片付け活動を実施し、延べ22名のボランティアさんが駆けつけてくださいました。

そのうちの1回は、60代の成川さん(仮名)のご自宅での活動でした。成川さんのお宅の相談は、地域の福祉団体を通じて今年8月に寄せられましたが、その時点でご本人は入院中でした。既に退院して自宅に戻ることができる状態にまで回復されていましたが、退院前に相談員さんがご自宅を訪問したところ、室内が荒れており、とても戻れるような状態ではなかったと言います。

早速ハビタットのスタッフが下見にお伺いしましたが、室内はペットボトルや食べた容器のゴミで数十センチの高さまで埋まっている状態でした。ハビタットで行うボランティアさんとの活動では、衛生面での安全が懸念されるため、清掃業者に依頼することを提案しましたが、ご本人は生活保護受給者で、公的資金からは業者の見積額の半分までしか出せないとのことでした。

その後も相談員さんと話し合いを重ねる中、最初に業者が入り、ゴミの搬出を行った後にハビタットでの清掃支援の実施の打診がありました。通常、ハビタットではご本人の同席のもと清掃支援を行いますが、今回はご本人の了承のもと、相談員さんの立ち合いを条件として支援を決定し、910日、学生ボランティア2名が駆けつけ、相談員さん、ハビタットのスタッフの合計5名で清掃支援を実施しました。

部屋に入ってみると、事前に行った業者による清掃の際にトラックの荷台から溢れ、積み込めなかったゴミ袋が30袋ほど壁一面に積み上がっていました。まずはこのゴミを回収場所に持っていくところから作業を開始しました。ボランティアさん同士、声をかけ合いながら部屋からゴミをどんどんと運び出していきます。その後、ベッドの上と下、キャビネットの清掃を順番に行いました。まだ使える状態のご本人の私物を残して、あとのモノは処分すると、部屋の中はすっきりと生まれ変わりました。初めてPHWボランティアに参加した大学3年生の巻木さんは「誰かの住まいをつくる手助けが、ほんの少しかもしれませんができたと感じ、もっとこの活動が広まってほしいと思いました」と感想を寄せてくれました。

今回の活動で、ご自宅のスペースを取り戻すことができましたが、まだご本人が住める状態ではありません。相談員さんは、「今回、ハビタットの活動で室内を空けてくださったので、この後クリーニングと水回りの清掃、介護ベッドの搬入行い、一つずつ住める状態に整えていきます」と、お話くださり、ハビタットとしてできる役割を終了しました。

住まいの問題は、私たちの身近にありながら、外からは見えにくい問題です。成川さんのように、一度室内の環境が荒れてしまうと、自分一人ではどこから手をつけて良いのかわからないまま時間が経ち、さらに悪化してしまうことがあります。そのような時に、家族や親戚でもなく駆けつけてくださる福祉団体やボランティアさんの存在は、ホームパートナーさんにとって、大きな支えになると感じます。ハビタットは今後も、福祉団体と連携し、ボランティアさんと手を取り合いながら、清掃・片付け支援を充実してまいります。