ハビタットの海外建築ボランティア「グローバル・ビレッジ」は、ハビタットのグローバルなネットワークを通じて、世界中のボランティアが12名以上からなるチームを組み、住居建築支援を必要とする国に赴き、現地のハビタット、そしてハビタットが支援するコミュニティの人々、きちんとした住まいを必要とする家族と手を取りあい、誰もが安心、安全に暮らせる住まいを建てるボランティアプログラムです。学生からご高齢の方まで多くのボランティアがGVに参加する中、日本からはハビタットの学生団体(キャンパスチャプター)に所属する大学生がチームを組み、大学の春と夏の長期休みを利用してGVに参加しています。GVはハビタットのミッション「手を取りあい、家、コミュニティ、希望を築く」を実践するハビタットに欠かせない海外住居建築支援です。今夏、3度目のGV参加を果たす大学3年生の高橋さん(早稲田大学WHABITAT所属)が、GV参加に向けた想いを寄せてくれました。


「たった一軒の家を建てたところで、世界の何が変わるのか」、「知識も力もない学生が海外にいったところで何ができるのか」、こうした疑問は、GVプログラムを知った私がはじめに抱いた正直な思いです。このような疑問から始まったGVですが、この夏、3度目のGVに参加します。そして、3度目のGVに挑戦しようとしている今、当初わたしが抱いた疑念はありません。たとえ世界全体を変えることはできなくても、私たちが建てた家が誰かの世界や人生を変えることができるという事実は、私の活動の原動力となっています。初めてのGVでは何もできないと感じていた私ですが、今では小さな行動の一つが誰かにとって大きな違いを生むことを信じています。そして、私自身もGVを通して人生が変わった一人だと強く感じています。

私の一度目のGV参加は、昨年夏のインドネシアGVです。2度目のGV参加は、昨年の春に参加したカンボジアGVです。GVというプログラムを通して訪れる国は、いわゆる「途上国」であり、私たちが訪問し、活動する地域や、私たちが出会う家族は、その中でも特に貧困に直面しています。初めてGVに参加した時には、「生活に苦しんでいるかわいそうな人たち」と無意識に考えていました。しかし、実際にGVに参加し、ハビタットが支援するコミュニティを訪れると、そこには衝撃の数々が溢れていました。コミュニティに暮らす人々には笑顔があふれ、地域住民や家族との繋がりを何よりも大切にし、今ある生活に感謝をしながら明るい未来を語ってくれたのです。

遠い国から来た私たちのこともすぐに受け入れ、笑顔の溢れる活動期間を過ごすことができました。家が完成した時には、涙を流しながら感謝を伝えてくれるご家族(ホームオーナー)の姿や、別れを悲しんで再開を誓ってくれた地域の方々の姿を私は忘れることができません。現地で活動する期間を通じて、モノは少なくとも豊かな心を持つ彼らの生活は、日本で暮らす私たちよりもずっと豊かに感じました。しかし、彼らの生活は決して安心、安全で楽なものではありません。木材でできた壁には、無数に穴が空いていて、雨風が入りたい放題です。雨季には家の中が浸水し、土砂崩れの危険に晒されています。夢を語りながらも、現在の環境を見つめて、どこか憂い諦めようとしている。そのような姿や境遇を知ることになったGVでの経験は、胸を痛め思い悩むきっかけともなりましたが、現在ではその経験が彼らのために自分にできることは何かを考え、行動し続ける言動力となっています。

GVという活動は、単なる「住居建築活動」ではありません。住居建築活動を通じて「コミュニティ」と「希望」を築くのがGVという活動です。GVは、きちんとした住まいを必要とする家族と出会い、家族と共に家を建てることを通じて、一家の明るい未来を築く活動そのものです。GV参加前の私が抱いていた「たった一軒の家を建てたところで世界の何が変わるのか」という問いに対する現在の答えは「世界は変わらないかもしれない。しかし、ホームオーナーさん家族をはじめとする、関わった人々の生きる世界を変えることができる。その小さな積み重ねが世界を変える力になる」というものです。こうした現地での活動以外にも、世界を変える力になることがあります。自分たちの活動をSNSや報告会を通して伝えることが、世界を少しでも良くするための種を沢山広めていくことにつながるのだと考えています。

「学生」であることは一見して経験不足、知識不足と考えられてしまうかもしれません。しかし、学生時代に世界を知り、学んだ経験をこれから社会へ出たときの指針とすることが出来るという点で、学生のうちに自分の足で途上国へ赴き、自身の関心を深める機会を持つことができたことは、非常に恵まれたことだと感じています。


高橋さん、3度目のGVに向けた想いを言葉にし、寄せてくださりありがとうございます。高橋さんの想いは、まさにハビタットの支援の意味を伝えてくれています。ハビタットは、1976年の設立以来、家の建築や修繕などを通じて、これまでに4,700万人の人々がきちんとした住まいを持てるよう支援してきました。しかし、世界を取りまく住まいの課題は人口増加や都市化により、ますます深刻となっています。ハビタットはこうしたグローバルな課題に、家を「BUILD(建てる)」だけでなく、「INFLUENCE(伝え動かす)」ことにこれまで以上に力を入れています。家を建て、活動を通じて世界の住宅問題を知り、問題を伝え広めるボランティアの声は、住まいの問題への関心を高め、住宅政策や制度そのものを変え力になります。あなたもぜひ、GVボランティアとして活動に参加し、あなたの見た世界を伝え広めることで、世界が抱える住宅問題の解消にご参加ください。GVプログラムの詳細はこちらをご覧ください。