厳しい日差しが照りつけた8月も、能登半島の輪島市門前町で、仮設住宅における居室内の環境改善を目指した棚作りを実施しています。8月は10日から12日の3日間、関西エリアで活動するキャンパスチャプターを中心に14名のボランティアが門前町に駆け付け、ハビタットの活動に参加しました。
今回の活動では、組手什を使った棚作りに加えて、仮設住宅における緑化支援が実現しました。門前町は海と山に囲まれた自然豊かな地域であり、多くの住民が自前の畑を持ち、畑の手入れは日常生活の一部でした。しかし、仮設住宅に入居された方からは、畑への道が寸断されてしまったという声や、車がないから畑に戻れないといった声が聞かれました。そこで、組手什を寄贈くださった「緑の募金」にこうした住民の声を伝えたところ、被災地支援の一環として新たにガーデンボックス(野菜)とプランターボックス(お花)の寄贈が叶いました。
8月10日、門前町の海沿いにある最大規模の仮設住宅で緑化支援に取り組みました。14名のボランティアに加えて、石川県緑化推進委員会の皆さんをはじめ、石川フォレストサポーター会、石川県林業研究グループ連絡協議会輪島支部、石川県木材産業振興協会、能登農業協同組合そして石川県巨樹の会からも応援の方々が駆け付けてくださり、賑やかな活動となりました。活動は棚作りと同様に、ボランティアがチームを組み、それぞれの住民さんの要望にそってガーデンボックスやプランターボックスの設置をお手伝いしました。まずは住民さんが花や苗を選び、木でできたボックスの組み上げをボランティアがサポートし、運んできた土をボックスに入れ、苗を植える作業を行いました。「花を育てるのが趣味だったのよ」、「こんなにきれいな花がたくさん!」と話す住民さんや、ベランダに完成したガーデンボックスを見て、「家の中から緑が見えるのは嬉しいわ」と歓喜くださる住民さんがいるなど、たくさんの笑顔が溢れる一日でした。
そして、2日目と3日目は、新たに門前町の他の地区で入居が開始された仮設住宅で組手什による棚作りを実施しました。約40世帯が暮らす仮設住宅では、従来のコミュニティの方が多く移り住まわれていることから、住民同士の交流が深く、たくさんの方が声を掛けあい棚づくりに参加くださったほか、終日お手伝いくださる住民の方がいるなど、和気あいあいとした雰囲気の中で行われました。棚作りも住民の方と交流する機会が多く、学生ボランティアたちは毎晩その日の学びを共有しあい、一学生として被災地のためにできることは何かについて語り合いました。
門前町での被災者支援事業は、今月入居が開始される仮設住宅での棚作りの実施(9月予定)をもって一区切りとなります。門前町の風景は、公費解体が進みつつあるものの、多くの被災家屋が未だ手つかずのまま残されています。門前町が、輪島が、そして能登半島が復興を遂げるまでには、あと何年、何十年もの時間がかかるかもしれません。ハビタットの取り組みを通じて門前町を訪れた学生ボランティアの多くは、口々に「門前町が、そして門前の人が好きになりました」と話し、「自分たちでできることを考えたい」と震災が風化しないように何ができるかを考えています。ハビタットの被災者支援は、門前町にある全ての仮設住宅での棚作りの完了(9月予定)をもってひと段落となりますが、門前町が復興するまでの中長期的なかかわり方について引き続き模索してまいります。