2024年2月、日本全国に広がるハビタットの学生団体(キャンパスチャプター)から14名の大学生が集まり、チームを結成し、インドのマハラシュトラ州にあるイガットプリ村で、11軒の家を建てるプロジェクトにボランティアとして参加しました。このプロジェクトへの日本からの参加は、長きにわたりハビタット・ジャパンをご支援くださるサポーターが、ハビタット・ジャパンの設立20周年を記念してご支援をお寄せくださり実現した、コロナ禍以降初となるインドでのスペシャルビルドです。日本からの学生に加え、プロジェクトをスポンサーくださったサポーターを含めて、日本とアメリカから計9名の一般参加者が混じり、合計23名がインドに渡り、約5日間、計4世帯の家建築に励みました。

ボランティアが建築にあたったイガットプリの村は、土地を追い出された少数民族が政府に与えられた土地に作り上げた村です。村人の多くは、土壁とブルーシートに覆われた、その場しのぎの、構造的に脆弱な住まい、衛生設備が整わない環境で暮らしています。そこで、ハビタットは、インド政府と協働し、この村で11世帯の住居建築を実施するプロジェクトを立ち上げました。

そして、村の人たちを建築現場のスキルドワーカーとして雇用し、エンジニアの指示のもとで村の人たちが建築の技術を身に着けられるよう、11軒の家建築に取り組んでいます。そうすることで、ハビタットは、家を建てるだけでなく、村の人たちが自分たちでコミュニティの家をメンテナンスしていくことを期待しています。

村の人たちと一緒にセメントとモルタルを混ぜ、レンガでできた壁を積み上げた学生たちは、現地に渡航するまでに、約半年もの準備期間を持ち、19回にも及ぶ事前ミーティングでインドの言語、文化、住宅ニーズなどについての学びを深めていきました。

現地では、建築活動にあたるだけでなく、学生たちは出会ったご家族にインタビューを行い、村の家を訪問する機会を持ちました。そして、どの家族も、雨の際には浸水の被害に遭うこと、子どもの教育に課題を抱えていることを知りました。また、イガットプリ村の人たちの多くが、漁業を生業としてきたそうですが、一日の稼ぎが250ルピー(役460円)程度と限られているため、今は、季節労働者として村を出て、農産業に従事している方が多いこと知りました。そして、村には政府から支給されたソーラーパネルが一枚設置されていましたが、村の暮らしを支えるほどの電気供給量はなく、電力不足が村の課題でもあることを知るなど、毎晩のチームミーティングでは、学生たちがその日学んだこと、感じたことをチームで共有しあい、日々の目標を設定するなど、限られた時間を精一杯使い、意義ある時間にしようとする姿勢が見受けられました。

家の完成が近づく中で、学生たちが新居への思いを村の人に尋ねると、:

「うれしいです!」

「家を持つことは全く考えることもできませんでした。」

「大きな木かだと感じました。」

といった声がきかれました。イガットプリ村のある地域は、インドの中でも乾燥地帯にあたり、建材となる木材が育ちにくい地域です。村の人たちは、永住できる土地があっても、自力で蓄えを増やし、安心して暮らせる住まいを手に入れるのは困難なことです。村の人たちが安心、安全に暮らせる住まいを持つことで、村の発展に寄与すること願っています。

2024年5月、イガットプリ村での建築活動に参加した学生たちは、東京に集結し、現地で見て感じたことを自分たちだけのものにするのではなく、住まいの支援の必要性を伝え広めるために、報告会を開催してくれました。ハビタットが設立20周年を迎えられたのも、こうして住まいの支援に賛同し、ボランティアとして、そして支援者として活動を支えてくださる皆さまがいてこそであり、ハビタットは引き続きキャンパスチャプターをはじめ、活動をご支援くださる方々と手を取りあい、住まい、コミュニティ、そして希望を築いてまいります。