ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」では、新宿区を中心とする都内7区で、ご自身では改善が難しい居室の環境を整える活動を、ボランティアの方々のご協力をいただきながら実施しています。現在は毎月2~4回の活動を行っておりますが、今後、より多くの支援ニーズに応えるべく、ボランティアコーディネータースタッフを新たに募集することとなりました。詳細はこちらをご覧ください。

そこで、今回は、ボランティアコーディネータースタッフを1年半勤めている唐さんに、本職についてインタビューしました。

 


Q:PHWのボランティアコーディネーターとして働きたいと思ったきっかけを教えてください。

私は大学で都市計画を学んでいます。元々、人が暮らしやすい環境の整備に関心がありましたが、特に「家」は人の生活の基盤であり、きちんとした住まいを持つことは基本的人権であると思っています。私自身が学んだり、経験したことから、人の心や生活を充実させるためには、住環境を整えることが欠かせないと考えるようになり、ハビタットのPHWを通じて、居住環境が整っていない方々の力になりたいと思い、応募しました。


Q:PHWのコーディネーターとして学んだことは何ですか。

これまでに、約20人のホームパートナーさんのお宅を訪問し、お片付けをボランティアさんとお手伝いしました。現在は荒れてしまっているお宅で片付けをしながら、ホームパートナーさんとお話をすると、以前には充実したお仕事をされていたことや、多くの趣味を持ち、生活を楽しまれていたことをお伺いすることがあります。そうしたお話を聞くたびに、家の環境が悪化してしまう状況は、病気やケガなどがきっかけで誰にでも起こり得ることであると感じます。また、こうした問題は、自分の家族や友人、家の近所といった身近にも起こり得ると思います。

自分の家が荒れた状態になってしまった方の中には、自分自身の力ではどうすることもできず、「誰か」の助けを必要としていても、頼れる人がおらず、誰にも相談できずに周りに隠れるように暮らしている方も少なくありません。この仕事を通じて、そうした方々の存在を知り、社会の問題として捉えるようになれたことが、大きな学びでした。

Q:印象に残っている活動や出来事は何ですか。

精神疾患をお持ちの方のお宅のお片付けに数回お伺いしました。お部屋の状態が整い、ハビタットでの活動の最後の日に、「部屋の環境が整って、自分の人生に対して前向きになれた」とおっしゃり、これから挑戦してみたいことについて話してくださいました。そのお話を聞き、お片付けの支援を通じて、ホームパートナーさんがご自身の今後の生活についても前向きに一歩踏み出すための、ほんの少しかもしれませんが、お手伝いができたと思うと、とても嬉しかったです。

一方で、居室の改善に難しさを感じたお宅もありました。そのお宅は、ご高齢の方が一人で暮らされていました。夏にお伺いしましたが、暑くて狭く、荒れた室内を見て、この環境でこの方が毎日を過ごしていると思うと、とてもショックでした。たった一回の支援で改善できることは少ないかもしれませんが、たとえ短い時間であったとしても、その一回一回をホームパートナーさんにしっかりと向き合って、大変であっても少しでも力になりたいと思いました。


Q:心がけていることや、活動の際に気を付けていることを教えてください。

ホームパートナーさんのお宅を訪問するときは、お部屋の状況だけでなく、そうなってしまった背景や、ホームパートナーさんご自身のこれまでの人生に思いを巡らせながら、ご本人の状況を理解しようと努めています。また、ホームパートナーさんとボランティアさんが、初対面であっても居心地が悪くならないよう、和やかな雰囲気づくりを心がけています。
ボランティアとしてご参加くださる方は、学生の方、社会人の方、既にお仕事をリタイヤした方など様々です。私自身、PHWの活動を通じて、普段は知り合うことがなかなかできない方と交流できる機会になっており、とても楽しく、勉強になります。ホームパートナーさんとボランティアさんの会話が弾むことも多々あるため、毎回の活動ではお互いを理解し合うことができる交流の場となるように努めています。


ハビタットでは、PHWを通じて支援を必要とされている方に、支援を届ける活動を継続しています。今回募集となってボランティアコーディネータースタッフへのご応募と、ボランティアとしてのご参加も引き続きお待ちしております。