元日に発生した能登半島地震から、あと一月で半年が経ちます。ハビタットが被災者支援に取り組む輪島市門前町でも、春ごろから応急仮設住宅への入居が始まり、復興に向けた大きな一歩となりました。しかし、甚大な地震の揺れによって多くの家屋が被災しているため、解体や修繕が手つかずの状態にある家屋が未だに多く見受けられる状況です。それでも、被災地の皆さんは、復興に向けて今できることを一つずつ進めています。その一つが家屋の片付けです。

被災家屋の片付けには、社会福祉協議会が開設する災害ボランティアセンターが住民のニーズを聞き取り、県内外のボランティアを集めて活動にあたるほか、門前町で活動するNPO団体も、災害ボランティアセンターや他NPO団体と連携しながら片付けへの取り組みを進めています。ハビタットには、避難所で実施した健康体操や、物資配布、棚作りなどで知り合った方々からこれまでに合計32件の片付け相談が寄せられました。屋根から落ちて使えなくなった瓦の片付けや、長引く避難生活で室内に蓄積してしまった家屋のお掃除、長年かけて集めてきたモノの分別、新しい住まいへの家具や家財の移動、使えなくなった家電や不要になる家財の搬出などさまざまです。思い出の詰まったモノを丁寧に分別し、家を手放す準備を進める被災者の姿が見られます。

ハビタットが取り組む片付け案件の中には、力作業や多くの人手を必要とする作業もあります。キャンパスチャプターに所属する学生ボランティアや、災害ボランティア経験を持つ一般ボランティア(プロボノ)にご協力いただきながら、寄せられるニーズに応えています。

5月は、仮設住宅で取り組む棚作りワークショップや建築相談と並行し、計5世帯の片付けに着手しました。片付け支援を実施した5月26日(土)、27日(日)の両日は、大きな家具の解体や軽トラックでの運搬が必要な案件が入っていたため、県外に在住するプロボノの方に協力をお願いしました。すると、快く快諾くださり、8時間かけて、ご友人を連れて門前町に駆け付けてくれました。この週末は、プロボノのほかに、金沢大学を拠点にキャンパスチャプターとして活動する「金大ハビタット」の学生ボランティアが計10名集まり、予定していた合計3軒のお宅の片付けを完了することができました。片付け相談を寄せてくださった家主さんは、活動を終えると、「一人じゃ全然片付けが進まないから、今日色々運んでもらえて助かりました!」と話されていました。

一方、参加した学生からは、「被災された方が必要とする相談に寄り添える活動にやりがいを感じた」、という声が聞こえたほか、学生ボランティアの一人戸高さんは、被災地で活動することで新しい気づきがあったと話します。「常に地震のことが家主さんの頭の中にあるのを感じました。 利便性や生活のしやすさ、見た目よりも、地震が起きた時のリスクを一番に考えることは大事なことであることに気づかされました。普段の生活では、そんなにも重視できていませんでした」と被災地で活動するからこそ気がづく、知ることがあると話します。ハビタットは、家屋片付けをはじめ、被災地での活動に今後もキャンパスチャプターに所属する学生を中心に協力いただきながら、被災者支援への取り組みを続けてまいります。

※被災地でのボランティア活動には「赤い羽根「災害ボランティア・NPO 活動サポート募金」(ボラサポ)の助成を受けています。