ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」の清掃・片付け支援は、ご相談頂いたお宅にスタッフが訪問し、ご本人にお話しをお伺いしてから日程の調整を行うため、実際の活動までには1~2か月ほど頂いています。しかし、時に迅速な対応が求められることもあります。

4月初旬、連携している福祉団体から連絡を頂き、赤西さん(50代)のお宅に伺いました。赤西さんはご自宅の離れにご自身の荷物を置いていましたが、老朽化により取り壊しが決定し、母屋にモノを移動する必要がありました。ご相談いただいた時点で、既に取り壊しまでは2週間しか残されていませんでした。「お急ぎであれば、業者に依頼してはどうか」と提案しましたが、精神疾患をお持ちの赤西さんは、業者の方とのコミュニケーションを不安に感じられ、どうしても業者には頼みたくないとおっしゃいます。こうした背景から、ハビタットで支援を決定しました。

緊急案件で、かつ4~5名のボランティアが必要なため、ハビタットのキャンパスチャプターの一つである早稲田大学の学生に協力を要請すると、「仲間に声をかけてみます」と言い、新歓で忙しい時期でしたが、学生ボランティア4名が活動に駆けつけてくれました。

活動当日、集まった学生ボランティアと共に、取り壊す予定の部屋からモノを運び出します。室内には電子ピアノやギターだけでなく、見たことがない楽器も置かれていました。ボランティアさんが「音楽がお好きなんですか?」と質問すると、若い頃にバンドに所属して活動していたことや、作曲の仕事をしていたことなどを教えてくださいました。その他にも、フィギュアやミニカーなどが棚にきれいに飾られており、長年大切にされてきた様子が伺えました。ボランティアさんにお手伝い頂き、細かなパーツを傷つけないよう、慎重に移動させていきました。

作業は2時間ほどで終了しました。急遽活動に参加してくれた学生のボランティアさんからは「ホームパートナーさんの若い頃の話を聞き、これまでどんな人生を歩まれてきたのかな…と思いを巡らせました。色々なお話ができて楽しかったです」「身近な地域に困っている方がいることを知る機会になりました。自分たちも、そうした困っている人の役に立っていきたいと思いました」といった感想が寄せられました。同席頂いた福祉団体の方からは、「取り壊しの日が迫っていた中で、どうしようかと途方に暮れていましたが、今回迅速にご対応頂けて、大変ありがたかったです」とお言葉を頂きました。

ハビタットでは、今後も身近な住まいの問題に取り組むべく、ボランティアさんと協力しながら、国内居住支援「プロジェクトホームワークス」の活動を継続してまいります。