ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」のご相談は、ご高齢の方や障がいをお持ちの方など、ご自身で居室内の片付けを行うことが困難な方を支援する地域の福祉団体から多く寄せられます。2月、地域の保健センターから連絡を頂き、訪問したのは、単身でお住まいの倉田さん(仮名・70代)です。
倉田さんは、皮膚病の一つに感染しています。ご相談を頂いた時点では、服薬し、回復に向かわれていることでしたが、更なる感染を防ぐために寝具一式を新しくする必要がありました。しかし、生活保護で生計を立てている倉田さんが寝具一式の費用を捻出することができず、加えて一人ではこれまで使っていたマットレスや寝具を粗大ごみに搬出できないことから、誰かの手を借りたいとハビタットに相談が寄せられました。すぐにご自宅に伺い、状況を確認した後、ハビタットから寝具一式を提供し、後日ボランティアさんの力をお借りして寝具をセッティングする活動を行うことが決まりました。 3月初旬、ボランティアさんとご自宅を訪問すると、倉田さんは大変明るく迎えてくださいました。朗らかで明るいご性格の倉田さん、ボランティアさんとの会話も弾みます。「昔、芸人として活動していたんです」と話される倉田さんは、大変お話好きです。現在は皮膚病の影響もあり、あまり外出することもできず、人と会う機会もないと、少し寂しそうに教えてくださいました。マットレスをアパートの1階に下ろし、寝具はビニール袋に詰め込んで粗大ごみに出す手筈が整いました。その後、ベッドのフレームをアルコール消毒し、新しい寝具をセッティングし、活動は終了となりました。倉田さんは新しくなった寝具に触れて、「気持ちいいなぁ」と大変喜んでいらっしゃいました。
それから2週間後、担当する保健師の方に倉田さんの状況を伺うと、倉田さんの皮膚病は順調に回復し、病院の診断許可も出て、デイサービスに通い始めたとのことでした。それだけではなく、友人の方と銭湯にも行けるようになり、生活を楽しんでいらっしゃるとのことでした。さらに、仕事を見つける意欲を持ち始めたことを教えていただきました。ハビタットで新しい寝具一式を提供し、ボランティアさんの力をお借りしてセッティングできたことで、倉田さんの生活の楽しみを取り戻すことができたことを大変嬉しく思います。ハビタットでは、これからも生活基盤となる住まいを整える清掃・片付けにボランティアの協力を得ながら取り組んでまいります。