3月を迎え、被災地でも日差しのぬくもりが感じられる日が出てきました。輪島市門前町では、上水道が徐々に復旧しつつありますが、通水しても家の敷地内の水道管が破裂していたりするため、漏水検査や修理工事待ちのために、未だ家の水道が使えない世帯が沢山あります。災害ゴミの回収が始まり、被災した家屋の片付けに取り組む住民やボランティアの姿も見られるようになった一方で、被災家屋の破損程度を証明する罹災証明書が徐々に発行され、それによって受けられる公的支援制度の違いを受け、今後の住まいの再建に不安を抱える方も多くいらっしゃいます。長引く避難生活の中で疲れも見える一方、住民同士で助け合う姿や、声を掛け合う様子が見られます

ハビタットは2月下旬から、避難所の環境改善の一環として、「組手什」という組み立て型の木材を使った棚を、住民の方や学生ボランティアと一緒に作る取り組みを開始しました。「組手什」は細い間伐材等を使って凸凹に加工した木材で、はめ合わせるだけで簡単に棚を組み立てることができます。のこぎりで長さも調整でき、「誰でも」「どこでも」「自由に」「簡単に」作れることが特徴です。そして、必要がなくなれば、解体してまた別の活用をすることができます。今回、公益社団法人 国土緑化推進機構が募る「緑の募金」により、全国から集まった寄付で能登半島地震で被災した市町村にこの組手什が寄贈されています。そして、この組手什の加工を担当した金沢の木材会社、フルタニランバー株式会社の社長さんが門前町の出身であったことから、門前町への寄贈にもつながり、これまでの被災地で組手什による棚づくりの経験があったハビタットが各避難所で組み立てをお手伝いする役割を担うこととなりました。

各避難所が必要とする棚の大きさや数は様々です。避難所に届く支援物資を置く棚として作成する時もあれば、避難所で暮らす方のそれぞれのスペースに置く棚が欲しいという時もあります。ハビタットでは門前町に届けられた3,500本の組手什を、それぞれの避難所のニーズに応じて組み立てをする準備を整え、要望のあった避難所において、住民とボランティアが協働して棚づくりをしています。

3月上旬には、棚の要望が多かった避難所の一つで、約15名の住民、そして全国のキャンパスチャプターの学生ボランティア10名と、そしてこの日のために駆け付けてくださったフルタニランバーさんと共に、個人のスペースに置く棚47個を二日間かけて組み立てました。住民とボランティアが一緒に組み立て、紙やすりで仕上げをする際には、自然と会話が生まれ、お互いに笑顔が生まれていました。全ての棚を組み立て終わると、住民の方からは「本当に楽しい時間でした!ありがとうございました!またやりたい!」という声をいただき、棚を組み立てる時間は避難生活を送る中での団欒の時間となったようです。

後日、その避難所に行くと、皆さんが自分のスペースでそれぞれ棚を使用されている姿を見せてくれました。「今までは荷物を床に置いていたから嫌だったけど、棚があるおかげで整理整頓できるし、なにより衛生的でうれしい!」と話してくれました。

ハビタットは引き続き避難所の環境改善の一環として、「組手什」を使った棚作りに取り組んでまいります。活動へのご寄付はこちらをご覧ください。(※本活動は、「赤い羽根「災害ボランティア・NPO 活動サポート募金」(ボラサポ)の助成金により活動しています。)